「悩み」か「迷い」か?

  着物初心者を名乗る人たちの「質問や相談」を分類してみると、単に「知らない」ことを知れば解決するという
  ケースがほとんどのように見受けられます。残りの大半は、「わからないこと」の理解に費やされています。
  「わからないこと」というのは、判断の迷いを筆頭に、理由探し、手法など対象は様々です。しかしながら、
  逆説的に考えると、これらのことさえクリアできれば、多くの人は安心して着物を楽しめるということです。
  もう少し具体的に「悩み」や「迷い」の種類を分類して見ましょう。この中に当てはまるものがありますか?

   1.和装品の名前や特徴、使い方など、物理的なこと。
   2.素材や色柄の組み合わせ、サイズの選び方など、感性的なこと。

   3.「正しい」か「正しくない」か、「おかしい」か「おかしくない」かなど、観念的なレベルの不安と思えること。

  いずれも「正解」はありそうでないのが和装の現状ですが、「基本的な考え方」や「周知の事実」、「共通認識」
  といったものは当然のことながら存在します。言ってみれば、「普通に考えたらこうでしょう。」という種類のこと
  ですが、世の中にはこうした部分でさえ自己判断に困っている人も少なくありません。だからこそ、「基本」を抑
  えておくことは必要かつ役立つ事実と言えるのです。いくら自由でよいとはいっても、和装に限らず全ての状況
  で独自の判断が最善とは限りません。ごく一般的な世間の認識レベルと内容は知っておいて損はないでしょう。

   たとえば、いくら夏だからといって、親族が結婚式に浴衣で出席するのは場違い。節度も大切な要素です。
   あるいは、手持ちの着物を活用すべきと言っても、黒紋付羽織袴で犬の散歩はやはり異様な光景です。
   誰の目から見ても自然であるか、周囲の人に不快な思いを与えないか、も十分考慮して楽しみましょう。

着物の悩みは「基本」を学ぶことでたいてい解決する

  「知らないこと」は様々な方法で調べるなり、実物を手にするなりして、勉強して覚えるようにします。
  「わからないこと」は、他を観察するなり、話を聞くなり、実際に試すなりして、わかるまで努力するようにします。
  「知らないこと」を覚えること、「わからないこと」がわかってくること、この繰り返しが意味のある経験となります。
  ここで注意が必要なのは、どんな場合も自分の考えとのマッチング作業を行いながら、身につけていくことです。
  そうして納得して解決できたことが、あなたの知識や体験となり、それらをさらに活用することで新たな知恵が
  生まれます。きものの楽しみは、たぶんにこうしたプロセスの繰り返しの中にあるものです。

  いろいろなことを覚えていくうちに、きものが日本人の生活と実に深く関係してきた事実がわかります。
  時代に合わせて改めた方がよいと思われる実態もありますが、実は逆にそのままの知恵や工夫が今でも十分
  役立ち、感心させられるようなことの方が多いのです。我々の先祖が培ってきた、和装の知恵や心意気に対す
  る敬意の念を忘れないためにも、完成されたこの“日本の衣服”をよく知って味わいたいものです。

悩み多いほど興味尽きない証拠。楽しく覚えて着こなしましょう。






戻るHOMEへ次へ