「和風なBOOK(その2)」


この本は、表題にあるとおりテレビ時代劇の変遷を綴った内容であり、時代劇映画についての詳細な解説はありませんが、時代劇ファンにはたまらない一冊であることは間違いないでしょう。とにかく昭和28年に始まる草創記から平成10年までに至るTV時代劇の全てがこの一冊に詰め込まれています。昭和28年と言えば、あの坂東妻三郎がこの世を去った年でもあり、同時にNHKがテレビ放送を開始した年でもあります。

製作側のスタッフによる裏話あり、苦労話ありの読み物としても十分ファンには読み応えのある内容ですが、テレビ時代劇の全放送記録や貴重写真満載の本書は、データブックとしても活用できることでしょう。

この本では、テレビ時代劇というカテゴリに、「仮面の忍者 赤影」や「快傑ライオン丸」などをはじめとする特撮時代劇までもが網羅されており、時代劇ファンのみならずこれらの特撮ファンにも涙ものの一冊と言えそうです。

再放送などがほとんどなく、今やカルト的な番組となってしまった番組も、活字ではありますがこの本を手にすると甦ってきます。個人的には、中村敦夫とジュディ・オングのコンビで有名だった「おしどり右京捕物車」を何とかもう一度見たいと随分前から思っていますが、設定上の問題から再放送は絶望的でしょうね。せめてLDセットなどの映像ソフトとして発売して欲しいものです(・・・と、思っていたら2003.12月ついに「おしどり右京捕物車」はDVDソフトが発売に)。

なお、今更語る必要はないでしょうけれども、著者の能村庸一氏は、「鬼平」の現役プロデューサーとしても名高い方で、自他ともに認める「チャンバラ大好き人間」です。本書のあとがきには、自ら「時代劇オタクとして老後を過ごしたい」との夢が語られています。
「実録テレビ時代劇史」 著・能村庸一 485P
1999年1月29日初版発行 東京新聞出版局
定価3000円+税 ISBN4-8083-0654-9




1999年4月4日 掲載

  

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