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和装の魅力と着こなす楽しみを提案する、男の着物総合ガイド

褌(ふんどし)Fundoshi

ふんどし

■ 褌のイメージと実用性


「ふんどし」というと、どんな印象を受けられますか?「エロティック」だとか「恥ずかしい」とか「じじクサイ」とか総じてあまりいい印象の下着ではないことは間違いのない事実だと思います。しかしこれらは全て外見上の問題であって、下着としての機能性について論じた意見ではありません。日本人が下着として褌を使用しなくなってからの歴史の方がはるかに短いわけですし、我々日本人は伝統的なお祭りのユニフォームとしての褌姿や六尺褌の一種である力士の廻し姿を見慣れていますから、一度受け入れることができればそれほど特殊な下着ではなくなるはずです。要は褌人口が増え、昔のように下着としての市民権を得れば、奇異な目で見られることもなくなるわけで、そうした意味では和服と同じテーマの悩みを持つアイテムでもありますね。

けれども嬉しいことに、最近ではインターネットでも褌をテーマにした真面目なホームページも多数有り、褌に関心のある人が意外と多いことを物語っています。そうした所に集まる人々の年齢が意外と若く、20〜30代の人が中心なのも驚くべき事実かも知れません。

褌が優れているのは何よりも機能性と装着感ですが、最近は医学的にも優れた下着だということも立証されつつあるほどです。私は和服の下着として六尺褌を長年にわたって愛用していますが、やはり和服には褌が適しているとつくづく思います。

昭和50年代くらいのある大晦日の日、NHKの「ゆく年くる年」で語られた「21世紀に日本からなくなるもの」という話題の中で、褌が上げられていたことを今でも覚えています。しかし、この予想は見事?ハズレでした。21世紀を迎えた今日にも褌愛用者は実にたくさん存在しています。みなさんも、最初は興味本位でも構いませんから、是非一度褌を体験し、その機能性と心地よさを味わって見て下さい。

■ 褌の良さ

褌は、在り来たりの言い方をすると、湿気の多い日本の風土気候に適した下着であると言えますが、やはりその機能性と装着感は他の下着にはない独特の良さがあります。いずれも褌の種類によって異なるものなので、ここでは最も一般的かつ実用的な、「六尺褌」と「越中褌」に分けて説明したいと思います。

両方に共通して言える下着としての利点は、自分の体型や好みに応じて締め加減が調節できるという点と、どちらもぞれぞれに特徴のある開放感を持つ下着だということです。通気性のよい下着を身につけることは健康にも良いのです。通気性の良さの秘密は褌の形状にもありますが、いずれも素材が晒し木綿であることも大きな理由です(絹や麻の褌もありますが)。同じ木綿でもブリーフやトランクスの綿と違って、サラッとした感触のある晒し木綿は、洗い込む度に柔らかく肌に馴染むようになり、肌着としては最高の素材だと思います。このことは、赤ちゃんのおむつに使う布が同じ晒し木綿であることもそれらを証明してくれています。ぜひとも真面目な視点で褌を見直し、男ならではの心地よさをもっと多くの方に知って欲しいものです。

■ 六尺褌について


これを好む人は何といってもその装着感にあると思います。キリリとした締め心地は何とも言えない爽快感があり、気が引き締まります。「緊褌一番」という言葉もこうしたところから生まれたもので、この心地よさは精神面にも非常に大きな影響を与えてくれます。また、締め具合にもよりますが、横廻しで下腹を適度に締め付けるので、内臓の働きがよくなるというおまけもつきます。それから、これは好みの別れるところでしょうが、お尻の部分はほとんど裸の状態なので、その開放感にハマルと病み付きになります。何しろ汗をかいてもお尻に布が張り付く不快感がありませんので、座仕事の方など、汗かきであせもに悩んでいる方にもお奨めです。また、正絹の長襦袢など着た時には絹のすべやかな肌触りを、文字どおりお尻の肌全体で感じることができます。これがどれほど気持ちのよいことかは体験する価値ありですよ!

また、六尺を締めると、着物に角帯を締めた時、六尺の腰に巻き付ける横廻しの布と背中の「みつ」と呼ばれる結び目が丁度帯の下にきますから、帯が安定します。少しの補正で済む人なら、タオルを入れる代わりに長めの六尺で横廻しを太く巻けば帯も安定し、タオルで補正を入れるより着心地はいいはずです。トイレ(大)の時もブリーフのように下におろさなくても用が足せますし、終わったあともブリーフとかだと帯が邪魔で上げると着崩れてしまいますが、褌だとはるかに始末が良いのです。

■ 六尺褌の長さについて


ところで、そもそも六尺褌の六尺とは、建築などでの単位とは異なり、着物の仕立てで使う鯨尺(くじらじゃく:昔、鯨のヒゲで物差しを作ったことからこの名がある)を使いますから、六尺=約227cmとなります。但し、体格によっては多少長めに取る必要があります。角帯を締める際、ウエスト90cmくらいの場合で270cmくらいに取ります。ただ、褌の用途によっては布地の長さや締め方は様々で、地方の祭などでは一反そのまま使用することもありますが、日常の下着として使用する場合は200cmもあれば実用になる締め方もあります。

六尺褌の長さはいろいろ
一番左の最も短い布は約210cmで、体型によりますが、最低200cmあれば六尺褌は締める事ができます。私はこの長さのものを、主に寝る時の寝間着の下や、夏場の暑い時に用いています。

真ん中の赤褌は約270cm(約七尺)です。このくらいの長さが最も一般的です。お祭りの締込みとして用いられているのもこの七尺が多いようです。ちなみに私は普段この赤褌を締めることはありません。ほとんど白ですね。

一番右の最も長い褌は長さが約375cm(約十尺)あります。これは和服をいつもよりきちんと着付けたい時などに使います。日常締めるには長すぎるかも知れません。

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■ 六尺褌の各部の名称


  • 前に垂れ下がっている布を「前垂れ」といいます。
  • 前垂れの下に隠れていますが、股間を覆っている布の部分を「袋」といいます。
  • 後ろのT字型に交差している結び目のこぶの部分を「みつ」といいます。
  • 腰にぐるりと巻いている帯状の部分を「横廻し」といいます。
  • 後ろ姿の股下から背中の「みつ」まで垂直に渡る部分を「立て廻し」といいます。
六尺褌を前垂れ型に締めたところ

■ 六尺褌の締め方


六尺褌は一枚の長い布を腰に締めつけて身につけますが、実にさまざまな締め方があります。ここで紹介するのはあくまで和服の下着として向いている普段用の締め方の一例で、お祭りや水泳など激しい動きをするときの締め方とは異なります。(お祭りなどプロ用の締め方は他のホームページで詳しく紹介されていますのでそちらを参照して下さい)。例えばお祭りの時の締込みや水泳用には激しく体を動かしても緩んで取れないような締め方をしますが、日常生活でこの締め方だと、トイレなどで困ります。

私の普段の締め方は、越中褌のように前垂れのある形で、股の部分が単(ひとえ:布一枚ということ)になるように締めています。これだとトイレの時もいちいち褌を解かなくても用が足せますし、多少汗をかいてもすぐに乾いてしまうので衛生的でもあると思います。

また、六尺褌にする布の長さを体型や好みに合わせて調節することで、前垂れ型の締め方だけでも以下のバリエーションが考えられます。季節や用途、好みに応じて締め分けて見て下さい。なお、私はいつも布を並幅(反物の幅そのまま)で締めておりますが、人によってはこれを2/3とか1/2とかの幅に縦に切って細くした布で締める方もいますので参考にして下さい。

  • 前垂れが単で、横廻しが一重のもの(短尺の六尺)・・・・・・・・・・約六尺(227cm)必要
  • 前垂れが二重で、横廻しが一重のもの(中尺の六尺)・・・・・・・・約七尺(265cm)必要
  • 前垂れが単で、横廻しが二重のもの(やや長尺の六尺)・・・・・・約八尺(302cm)必要
  • 前垂れが二重で、横廻しが二重のもの(長尺の六尺)・・・・・・・・約十尺(378cm)必要

なお、ここで紹介する六尺の締め方は、あくまでも一例ですから最も正しい締め方という訳ではありません。でもまあ、六尺の締め方なんて、途中までは大抵似たようなものですから、結び目の部分や余った布先の始末の仕方などが違うくらいだと思います。コツがつかめたら、各自でいろいろ工夫してみて下さい。

六尺褌の締め方(短尺編)
   (最も短い布を用いた締め方の一例です)


六尺褌の締め方(中・長尺編)
   (中・長尺布での締め方の一例です)

なお、六尺を締める時の注意としては、長年六尺を締めているとどうしても、横廻しの当たる腰の両脇部分に締め痕が浅黒くついて消えなくなります。おまけに私の場合は、お肉がたるんでいるせいか、六尺を外してもこの締め痕部分がくびれて凹んでしまってます。締め痕が痛くなるようなことはありませんが、どうしても気になる人は越中の方が無難かもしれませんね。



■ 六尺褌の素材(布地)


六尺褌として通販などで製品も販売されていますが、基本的に褌は、晒し木綿などの布地を用いて自分で作ることができます。要は晒し木綿の反物を用意し、自分の体格に合った長さに切るだけで良いのです。六尺なら切りっ放しでも問題ありませんが、片方の端だけを縫って使用しても良いでしょう。越中なら体型に合わせて100cm前後の長さの布の端に太目の紐をつけ、布の端を縫いとめればOKです。使う布地は晒し木綿が一般的です。呉服屋さんやデパートのベビー用品売り場などで一反(約10m)800円前後で売られているもので十分でしょう。バーゲン品などでは一反300円前後のこともあります。

しかし、こと六尺なら、毛斯(モス)という木綿の反物が最適です。モスは通常一反21m前後、幅約35cm前後の木綿の反物でこれも晒しの一種です。通常の晒し木綿よりも布地の織目が詰まっていてきめのこまかい木綿地で、私が知る限り褌用としては最適かと思います。サラシよりも締め心地はこちらの方が格段に上だと思います。ちなみに、一反の値段は店によりますが大体\1,500〜\2,500くらいで、白地と赤地ならば比較的入手しやすいと思います。モスは白以外にも20色くらいの色があり、お店によっては切り売りもしてくれます。但し、サラシやモスには様々な種類がありますので、一度ではご自分にぴったりなものを見つけにくいかも知れません。まあ、比較的安価なのでいろいろ試してみてはどうでしょう。六尺用には反物の両端に「耳」と呼ばれる、糸がほつれない加工を施してある物が適しています。なお、毛斯には、大雑把に分けて厚手のものと薄手のものがありまして、薄手のものは大抵安いランクの低い方の品です。一般的に厚手のものは薄手の約2倍位の厚さだと思います(同じ長さで一反の厚みが倍くらい違うので)。

六尺用の布地を扱っているお店の中では、浅草のひさご通りにある祭用品の「あだちや」さんが私はお気に入りです。何しろここはお祭り用としてですが、締込み用(この店では褌をこう呼ぶ)としての布地を売っていて、その数、数十種類はありそうでした。「あだちや」さんで売っている布地は肌触りや締め心地も最高ランクですが、ここのは布幅の両側に糸がほつれないよう「耳」と呼ばれる加工が施してあることも特筆に値します。これがないと、洗濯するたびにどうしても糸がほつれてしまうのです。ちなみに、市販のものはほとんど方耳だと思います(両方耳なしもあるので注意)。それから、ここで買う時は堂々と、「これを七尺とこっちのを十尺ちょーだい。」って感じで頼めば「はいはい。(^^)」って感じで切ってくれます。「何に使うのですか?」って聞かれても、私は「締込みなんですけど。」って答えます(このやり取りはよそのお店では適用できませんのでご注意下さい!)。なお、ここで売っている越中褌も既製品の中では非常に締め易いと評判です。

あと、JR蒲田駅近くの「ユザワヤ」さんも多くの種類のサラシやモスが置いてあるお店としてオススメです。もちろん切り売りもしてくれます。東京近辺にお住まいの方は利用されてみるとよいでしょう。なお、サラシもモスも新品のものは一度洗ってよく揉みほぐしたほうが肌触りがよくなります。なお、赤や紺などモスの色物は必ず色落ちしますので注意しましょう。ちなみに、私はもっぱら白を愛用しております。

ところでモスは、一般の呉服店や問屋では「ナイスモス」とか「Aナイス」とか言わないと通じないみたいです。市販の厚手の毛斯では「ダイヤモンドモス」、「金大黒毛斯」などの銘柄を、薄手では「銀判泉紅梅毛斯」というのを試してみました。このうち「金大黒毛斯」と「泉紅梅毛斯」もなかなかの締め心地でしたが、「ダイヤモンドモス」は他のと比べると私には肌触りが今一つでした。ちなみに「ダイヤモンドモス」の赤色は、白より肌触りがよかったです。

さらし木綿だと、私が試した中では「白滝晒」というブランドがいいですね。肌触りが良く、洗うたびにしなやかになり、木綿の風合いが増すような気がします。逆に「知多雪晒」という銘柄のものは、洗ってもごわごわ感が残り、ふんどしには向いていないようでした。ただし、こうした晒しも20回以上洗濯するとぜんぜん違った感触になるので一概には向き不向きを言えないようです。ちなみに、「白滝晒」は主に関西で「知多雪晒」は関東で手に入るものです。これ以外にも全国に多数の銘柄があることと思いますので、まずは身近なところで手に入るものから試してみるといいでしょう。ちなみに私は、薄手のモスや晒し木綿を夏用に、他の季節は厚手のモスと言う風に使い分けております。

さて、木綿以外の褌ですが、絹製のものもあります。絹は身体にもいいし、締め心地も最高ですが、高価ですし、手に入れにくいのが難点です。羽二重や綸子で作ることもありますが、中には縮緬のふんどしなんてのもあります(本ページ下、越中褌の画像参照)。ちなみに、正絹の布地を六尺として利用するには、少し厚手でしっかりした生地のものが適しています。私の持っている中では、長襦袢用の生地を使った絹の六尺がお気に入りで、たまに気分を変えたい時などに利用しています。


上の写真は全て六尺用の布地です。左端の写真のものはすべて浅草の「あだちや」さんで購入した締込み用の木綿地で、色柄により値段が違いますが一尺80円〜300円くらいです。私はもっぱら一番左端の110円/尺の白のを締めています。中央の写真は呉服屋さんなどで手に入れることのできる毛斯の反物です。一番右の写真が晒しの銘柄二種類と、正絹の布地です。この正絹布地は褌用ではありませんが、手軽に絹の感触を体験できるお勧め品です。これは女物の着物の裏地に使う胴裏というもので、百貨店の呉服大売り出しなどで目玉品として一反(8m前後)3000円くらいで手に入れることができます。ただし非常に薄いので二枚重ねなどにして使うことをお勧めしますが、締め心地はそれほどよくありませんでした。むしろ、紐を付けて薄手の夏用越中褌として利用するのが最適かも知れません。

■ 越中褌について


私は好みの問題から褌といえば年中六尺で通していますが、紐付きの越中褌の方がポピュラーな存在かも知れません。越中は寝間着の時や、作務衣の時の下着として着用する位です。越中褌のよさは紐の締め加減をを自由に調節できることと、装着しても股間が圧迫されず、非常にゆったりとした装着感を得られることです。このため、越中褌はストレスフリーな下着として注目されている下着でもあります。何年も子供が出来なかった人が越中に変えたら出来たとか、肩凝りが直ったとか。私は越中だと気持ちがシャキッとしないので六尺派ですが、六尺に抵抗があるなら、医者も勧める越中という手もあります。

今でも自衛隊や米軍(もちろん外人)の隊員の方の間では、常用ではないようですが、褌を活用しているそうです。いざと言うときに気持ちを引き締める場合は六尺褌を締め、何日も風呂に入れないような過酷な訓練をするときなどにも、六尺や越中を使用しているそうで、こちらの場合は、褌だと靴やズボンを脱がなくても下着の交換が出来るので衛生的だという、機能的な側面からです。利にかなったものは抵抗なく受け入れるという姿勢が良いですね。ただし、外人さんはお尻丸出しの習慣がないせいか六尺には抵抗があるようで、もっぱら越中褌を愛用とか。

越中褌
上は、日常用の木綿製越中褌。
下は、正絹製、丹後ちりめんの高級品。
この絹製褌の肌触りと締め心地の良さは絶品です。

越中褌の締め方(六尺褌と比べると締めるのも簡単です)





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