「十日町講演会」  きものの町、新潟県十日町市に行ってきました。


〜「地域産業集積活性化講演会」の講師を引き受けて〜
このたび、新潟県産業労働部産業振興課および、(財)十日町地域地場産業振興センター振興事業課より直接のご依頼を受け、十日町地域の産業活性化の方向を検討するために企画された講演会の講師として、十日町市に伺いました。9月20日が新潟県主催の講演会、21日は地場産センター主催の産地見学会と人材育成会というスケジュールで、出席者はそれぞれ以下のとおりです(敬称略・順不同)。

・新潟県主催の講演会  約50名 (企業の経営者中心)
  関係市町村、商工会議所、商工会担当者
  十日町・塩沢織物工業(協)、小千谷織物同業(協)、
  十日町染色整理(協)、その他十日町地域内中小企業者

・十日町地場産センター主催の会  約30名 (現場の方中心)
  十日町織物工業協同組合
  (株)吉澤織物、(株)桐屋、根茂織物(株)、渡吉織物(株)
  葛苑工房、蕪重織物、きはだや、他

講演タイトルは「きものと共に生きるためのソリューション 〜今こそ、夢をかたちに〜」というもので、約90分の予定が大幅な時間オーバーでほとんど120分、PowerPointによるプレゼンテーション講演を行いました。ご出席頂いた皆様は、大変熱心に最後までお聞きいただき、熟睡されている方は見受けなかったので取り合えず及第点をいただけるかな?という感じでした。

内容はきもの愛好者としての立場から、きものに対する夢と希望(要望)を語って来ました。ごあいさつ、簡単な自己紹介とHPのご紹介のあと、前半で、きもの愛好者としての視点で捕らえた、きもの生活そのものの楽しさと意見などを、後半では、きもの業界のこれからの在り方をお考え頂く上での、ヒントとなりそうなキーワードをいくつかお話させて頂きました。とにかくややこしくなりすぎている、日本人のきもの意識の在り方を自然なものに変えてゆくために、きものの現状を是正しようという提案内容も盛り込んだお話を致しました。

(詳細な話の内容はいずれまた、機会があればご紹介することに・・・)


   
十日町に向かう電車の中で。    そして、十日町駅の前で。


一日目。講演会の様子。予想通り、誰も着物を着ていない!?

時間の関係で、参加者の皆さんと直接会話できなかったので個々のご感想やご意見などを伺うことができませんでしたが、一日目、ただお一人和服で参加頂いていた、十日町新聞社長の山内様より、

「俺の言いたいこと、全部言ってくれた!」

とのお褒めの言葉?!を頂いたので少しホッとした初日講演でした。

二日目は現場の技術者の皆さん中心で、仕事帰りの聴講であったこともあり、この日も和服姿の人はゼロ。皆さん熱心にメモなど取りながら聞いて下さいました。とにかく印象的だった感想は、

「着物のことを、こんなに誉めてもらったのは初めてです。」

だそうで・・・(^^;。きもの好きなんだから、けなしてどうする?!
もっと自信と誇りを持って頑張って欲しい。
繭から糸を紡いできものを一枚作るというのは、
恐ろしく多岐に渡る超高密度な技術の結晶なのですから。

とにかく何人か、「聞きに来て、ほんとうによかった。」
と、言って下さった方がいらっしゃったので、何はともあれでしたが、
できれば全員の率直なご意見やご感想が知りたかったです。

私の話に耳を傾けて頂き、木綿や麻のきものの開発にぜひ取り組んでみたいとおっしゃって下さる方もあり、今後の展開には本当に期待しています。
ファッションとしてのきものも、ぜひもっと盛り上げていきましょう。



十日町織物工業共同組合の南雲さんと。
十日町の糸偏業を取り仕切るエライ方です。



「友禅工房」たきしん企画の滝沢さん(私の右隣)宅でお昼をご馳走に。
中央の鉢巻をしている方は十日町新聞社長の山内さん、
ネクタイの彼は、今回招いて頂いた主催のクロス10の庭野さん。
右端は十日町で男の着物を数多く手がけてこられた阿部さん。

他にも町一番の会社、吉沢織物さんの工場見学や、休館日なのに特別に開けてもらった「十日町きもの歴史館」や、十日町市博物館など、実に沢山の所を訪問、見学させて頂き、大変よい勉強になりました。中でも、渡吉織物さんという伝統絣・すくい織の織元は、偶然にも昨年「男のきもの大全会」で乾杯の音頭を取って頂いた、落語家 桂 歌助さんのお母様のご実家でした。世の中意外と広いようで狭いもんです。

それにしても・・・

「ともかく、頼むからみんな、きものを着てってば!」


何を差し置いても、やはりそこから始めるしかないのでは?産地の皆さんは、いわゆるきもののパーツを生産していらっしゃるとも言えるわけですが、やはり完成品の着物を知るには、自分で着るしかないんじゃないでしょうか。期待を込めているという意味で、パーツ状態の出荷品で満足しないで欲しいのです。きものは仕立てて、さらに着てこそ初めて完成品と言えるのです。もっと自分で着れば絶対いいものが作れるはず。今まで気づかなかったもっと自由な着物が作れるはずなのです。

十日町では、冬になると車道の雪を解かすための消雪パイプというのが多量の水を流すため、歩道を歩くと水しぶきを浴びせられるそうで、それを理由にお祭り以外は冬でもみんな、着物はほとんど着ないそうです。

いっそのこと、それならば・・・

「きもので儲けて、きもの専用道路を作っちゃえ!」


とにかく厳しいきもの業界ですが、十日町は想像していたよりもまだまだ元気な町でした。町中が家族のようなアットホームで居心地のよい町でもありました。町中にきものが溢れていて(目にはつかないけど)、お米も美味くて、水も美味くて、もちろんお酒も最高で、野菜は新鮮だし、空気もきれいだし、ほんとにもう、いうことなしです(雪の苦労さえなければ・・・^^;)。

とにかく、取り組み方次第で十分産業の活性化は図れるものと思えました。あれだけ「きもの」を誉めたのですから(^^;、夢と希望と誇りと野望を大きく持って、きものにもう一度花を咲かせましょう。

大いに期待しています!


十日町のみなさん、本当にどうもありがとうございました。




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