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和装の魅力と着こなす楽しみを提案する、男の着物総合ガイド

保管方法How to store

保管方法
保管用の収納家具などについて

着物をしまっておく上で最大の敵は、なんといっても「湿気」と「虫」です。虫を防ぐには、物理的に完全密閉してしまえばいい訳ですが、それだけで完全防湿も兼ねられるものではありません。また、絹素材は非常にデリケートなバイオ素材でもありますから、適度な風通しも必要とします。わかりやすく言うと、絹って呼吸しているので(ホントに生命活動してるわけじゃないけど)密閉すると窒息死してしまうらしいのです(ほんまかいな?(^^;)。

そこで、防湿に効果があり、害虫の侵入を阻止するとともに、適度な通気性まで兼ね備え、収納具そのものも変質しにくいという、超難題に最も敵したスーパー素材が「桐」という訳です。この他にも桐は、非常に燃えにくいという特性まで持っており、火事で丸焼けになった家にあった桐の箪笥の中の着物が無事だったなんてエピソードが時々語られるようです。

ただし、そんな桐にも唯一最大のハンディ?はあります。それは良いものは超高価という最も現実的な問題です。絶対金額を別として性能面を考えると、確かにコストパフォーマンスは抜群なのですが、ちょっとした車さえ買える値段、あるいはそれ以上となると、普通はそう簡単には買えないですよねえ(本物の桐箪笥の値段は、その大きさに比例して高価になると言えます)。通販などで安価に手に入る総桐タンスは輸入材の桐や、桐の化粧合板などを使ったものが多いそうです。素人でも分かる違いは見てくれの威圧感?と木の質感、引き出しを開け閉めした時にわかる作りの問題などでしょうか。とくに安物はあちこちの作りに正確さを欠いているので隙間があり、防虫という面で役に立たないこともあります。

無理に総桐でなくても、内部に桐材を使った洋タンスでもいいでしょう。最近の婚礼家具の多くは、こうした種類のものが多いと思います。ただし、防湿という本来の機能面からは、内部に桐を使うよりはむしろ外箱に桐材が使われていなけば意味がないそうです。もちろん、湿気と害虫、風通しという保管上の適正条件が守れれば、ダンボール紙やプラスチックの衣装ケースなど、どんな器に入れて保管しても大丈夫なはずですが、それが難しいから桐が重宝されるのだとも思います。

他によく言われるのは、「茶箱」ですが、これは防湿効果満点ですが、密閉度が高すぎるため、空気中の水蒸気と一緒に閉じ込めると問題があるとか、内張りに使ってあるブリキみたいな金属の板が酸化する問題とか、かえって注意も必要です。まあ、それ以前に今では滅多に手に入らないようですが。市販しているとすると、ハンズやロフトあたりでしょうか(利用できる地域の人が限られますが)。

保管場所について

タンスや衣装ケースなどを置いたり保管する場所も、とにかく湿気の少なく風通しのよい所が好ましいということになります。また、直射日光に当たらない場所を選びましょう。長期保管中も、時々は引き出しを開けたり、蓋を開けたりして風を入れてあげるようにしましょう。

防虫材について

衣類を荒らす害虫は、主に夏場に発生しやすいのでこの時期特に気をつけましょう。で、対策として、樟脳やナフタリンなどのいわゆる防虫剤を入れるわけですが、個人的にはあまりお薦めしません。臭いの問題は、無臭の防虫剤(これは農薬系の薬品だそうで、絹ものには良くないとのこと)もありますが、これらの薬剤投与はやはり結論から言って、和服を傷める原因となるからです。防虫剤というのは大抵揮発性で、固形の薬剤が揮発する時に発生するガスが害虫に作用する訳ですが、害虫さえいなければ、こんなの有害無益のシロモノと化します。長時間衣類に接触するような使い方をすると、衣類の繊維を崩壊させることや、特に絹ものは変色、変質させてしまうケースがあることを知っておきましょう。また、古くから使用される樟脳は、他の揮発性防虫剤(ナフタリンやパラジクロルベンゼンを主成分とするもの)と混ぜて使うと、溶解して衣類に付着することもありますので要注意です(なお、ベンゼン類とナフタリンでも化学反応を起こすそうです)。

防虫剤を使用する際は、基本的に一つの引き出し(箱)に対し1種類だけ使うようにします。また、ほとんどの製品が和紙などで包んでありますが、絶対に中の薬剤が直接衣類に接触するような使い方は避けて下さい。一発で変色などしてしまいますよ。それから、揮発するときに発生するガスは空気よりも重いので、防虫剤はなるべく箱の上側に置きます。引き出しの底に敷き詰めてもあまり効果ありません。

さて、実際私はどうしているかと言いますと、正絹の着物や帯、長襦袢には一切防虫剤は入れません。その代わり、ウールの着物やモスリン(毛)の長襦袢などを来シーズンまで収めておく時にだけ、そこにたっぷりと防虫剤を使います(ただし同じ毛でも羊毛製品の場合は、絹と同様に黄色いシミが付くことがあるので注意して下さい)。多くの場合、虫に食われるのはまずこの毛素材の衣類ですし、これらの衣類は比較的薬剤の被害を受けにくいようです。ただし、絹ものとは最低引き出しを分けることが重要です。私の場合は別の箪笥にしまっています。それから、防虫シート代わりに新聞紙を引き出しの底に敷いて使います。これはインクの臭いか何かを害虫が嫌うのだそうですが、これだけでもかなり効果はあるようです。畳紙に包んでいない衣類は念のためインクの付着などに注意した方がいいでしょう。

ところで、樟脳などの臭いのプンプンする呉服屋さんというのはあまり見かけませんよね。この事実も、正絹着物に防虫剤は必ず必要というものではないことを物語っているのではないでしょうか。呉服屋さんでは、代わりに防虫効果があるとされる黄色いウコン染めの大風呂敷などに着物をくるんで保管されていることが多いようです。

防湿材について

防湿剤(乾燥剤)を使う最大の目的は、やはり防カビのためです。こちらは、防虫剤に比べ、衣類への被害もほとんどないようですから、むしろ活用すべきでしょう。ただ、防湿剤だけに頼るだけでなく、長持ちさせるには適度な風の入替えをするとか、衣類の虫干しをするなどして湿気を防ぐことも併用するのが肝要です。私も防湿剤は適当に使っていますが、天気のよい日にタンスの引き出しを10cmくらいあけておくとか、梅雨時などには除湿機をかけておくとかくらいのことをしています。もちろん、タンスや衣装ケースの置き場所も問題ですが、現在までのところ、着物がカビにやられてしまったことは一度もありません。あとは可能な限りの虫干しの敢行でしょう。

虫干しについて

湿度の高い日本ならではの習慣ですが、今では年に何度もこれを実行する家庭は少ないことと思います。何しろ場所も取りますから。でも、せめて年に一度くらいは行うようにすると和服が長持ちしますよ(実は我が家でもせいぜい年1〜2度まで)。

虫干しの時期はふつう次の3回がありますが、年に一度なら、やはり土用干しの時期がいいでしょう。

 
土用干し・・・ 7月下旬〜8月上旬頃に行い、梅雨で湿気た衣類を乾かすのが目的です。
虫干し・・・・・ 10月上旬〜11月上旬頃に行い、夏についた虫を追い払い、掃除するのが目的です。
寒干し・・・・・ 空気の乾燥した1月下旬〜2月上旬頃に行い、衣類の湿り気を抜くのが目的です。

虫干しは、晴天の日を選んで、正午を挟んだ4時間程度、直射日光の当たらない風通しのよい部屋で行います。一枚づつ衣紋掛けにかけて干しますが、洗濯ロープなんかを張って衣類を掛けるのも手です。掛ける時は裏返してかけるようにします。なお、寒干しの時はもっと短時間でも十分効果あります。

虫干しをしながら、きものの汚れや綻び、虫食いなどをチェックし、問題がある場合は早めに処置をしましょう。また、ついでに箪笥の引き出しや衣装ケースの中の掃除も忘れずに。中敷きの紙なども新しいのに換えておきましょう。できれば、こうした引き出しやケース自体も天日に干すとより効果的です。これは、乾燥させるだけでなく、紫外線による殺菌効果も期待できるからです。






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