■--明治維新くらいの侍 >>>栄香 女 東京 -- 2005/09/12-22:06..No.[1738] |
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皆さん、始めまして。 エイカと申します。 袴のはき方の検索をしていてこちらにたどり着きました。 と、言うのも。 自分は学校で演劇部に所属しているのですが この度、侍役をやる事になりました。(女子校です) 袴を部費で買ってみたものの、はき方が分からず; こちらにも載っていましたができるだけ 忠実に再現したいと思っています。 侍は袴をどのように結んでいたのでしょうか? 明治、ちょうど新撰組あたりです。 どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。 |
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>>> 朝路真行 男 兵庫 -- 2005/09/13-02:32..No.[1742] | |||
初めまして、朝路と申します。 演劇部で時代劇となると大変でしょうね。頭から足の先まで揃えるとなると金額的にも馬鹿にならないでしょう。 さて、お尋ねの件ですが、前もってお聞きしなければならないことがあります。時代設定は新撰組の頃とお書きになっていらっしゃいますから、幕末から明治初頭と言うことですね。 お聞きしたいのは、栄香さんの役柄です。江戸時代の中でも幕末の頃は、侍の拵えが多種ですからね。 また舞台衣装の場合は、いかにそれらしく見えるかが肝心なことですから、実用の着付けと必ずしも一致しない場合があります。 例えば、新撰組と聞けば大半の人が、あの水色地に白の入り山形の羽織を連想するでしょうし、それに対する尊王派や攘夷派は、坂本竜馬のような浪人のスタイルを連想しますね。忠実に再現すると言うことは、現実に忠実なのか、観客の連想に忠実なのかでも違ってきます。 では凡そのことを申し上げておきますね。 袴の着付けは、このHPで紹介されている通りです。区別するのは最後の前で結ぶ結び目です。 結び目を十文字にするのは幕末の頃にはしませんので、上級武士の場合は一文字が普通です。HPで紹介されているその1の結び方ですね。上級武士だけでなく礼装や正装の時にも同じ結び方を使います。 次にこのHPで紹介されている「重ね結び」を応用します。AとBのところで二つ折りにせず、そのまま蝶結びにして輪になった部分と端を揃えます。リボンを結ぶのと同じですね。出来た両端を前紐の間に挟んで処理します。これは通常の武士の袴のつけ方です。 戦う場合の時は、蝶結びにせず、そのまま結び切って、余った端を帯などに挟みます。武闘派の侍などですと、通常の時でもこの結び方にしていればそれらしく見えますね。余った端をだらりとさせたままですと浪人風になります。 また殺陣の場合などでは、袴の両脇=帯の部分に乗っている前紐と後から回してきた紐の隙間の部分を引っ張り上げ、「股立ちを取る」と言う形にします。 他にもそれらしく見せる方法ですと、襷がけも白布で襷をするのと、黒や灰色の布でするのでは年齢の違いが出ますし、組紐(本来は刀に使う下緒)を使えば剣豪のような凄みが出ます。鉢巻も後で結ぶのと、前に結び目を持ってくるのでは見た目が変わりますね。 いずれにしても言葉だけでは説明しにくく、栄香さんにも理解しがたい部分があるでしょうね。 とりあえずはご参考までに。また機会がありましたら何かでご説明できたらと存じます。 | |||
>>> 栄香 女 東京 -- 2005/09/13-21:21..No.[1746] | |||
丁寧なお返事ありがとうございます。 とても参考になりました!! ご指摘の通り、イメージが大切とも言うべきか・・・ たまたま祖母が着付けに関しての知識があり、 十文字と一文字を教えてもらったのですが; 資料をあさっているうちに正式な場などでその結び方をしていたり・・・ 時代は戊辰戦争あたりです。 色々と教えていただけて・・・質問してよかったです! ありがとうございました。 | |||
>>> 忠吉 男 千葉 -- 2005/09/14-09:25..No.[1751] | |||
栄香様 はじめまして、忠吉と申します。 演劇の成功をお祈りいたします。 さて、袴ですが確かにお悩みになる事かと存じます。 私は、古武術を学んでおりまして、ご表記の時代にも 流派としまして、いささかかかわりがございますれば 蛇足ながら、一文立てさせて頂きます。 とは申せ、朝路真行様がご丁寧に仰っておいでですので 着方自体は朝路真行様の御文をご参考にされますと宜し いでしょう。 ただ、現代の着付けは、武家の着付けと異なる場合があ り、私も着物を着ていて質問される場合があります。 ですので、注意して下さい。 袴を着ける際、帯は、上を出さず寧ろ隠すようにして締 めます。 ちなみに、一文字結びも微妙に異なります。 武家の一文字は蝶ネクタイを結ぶのに似ております。 そして、袴の着け方で独特なのものも有ります。 普通、袴は、前紐を結び→背板を帯に乗せて後ろ紐を 結ぶ、のですが、 ・先ず、背板を帯に乗せ後ろ紐は仮に首にからげておく ↓ ・前を当て、前紐を一度目の後ろ交差の際に背板の上に て交差させて背板を押さえる。二度目の結びの際は、 袴の後布の中で結ぶ。 ↓ ・首に絡げた後ろ紐を外し、通常通り前紐に絡げて結ぶ。 と言う物があります。 これですと、背板を前紐が保持しますので、しっかりし ます。昔は全ての袴に帯に差し込む「べろ」が付いてい た訳ではありませんし、背板付きの袴の後ろ紐は「背板 の左右から紐が生えている」ので、有事に切れる事を考 えていたのでしょう。数年前までは、時代劇でもよく見 るとたまに見かけましたが…今は見ないですね。 また、ご質問の範囲外にて恐縮でございますが、衣装全 体の雰囲気を大切にしてください。 刀の佩き方、襷ともも立ちのとり方、様々な様式があり ます。 史実に忠実に、武家には、となりますと多くの決まり事 や制約があります。 浪人とはいえ、武家である以上少なからずそれに縛られ て生きていました。 現代の武家と致しまして、大変とは存じますが応援いた しますれば、なにか、お手伝いできます事があれば、お 聞き下さい。 演劇頑張ってください。 | |||
>>> 栄香 女 東京 -- 2005/09/14-22:15..No.[1752] | |||
忠吉様、お返事ありがとうございます。 着付けの仕方は知りませんでした・・・ 袴は浅草の古着屋で格安で手に入れたものなのですが、 1つはべろが付いていて、もう1つはありませんでした。 なかなかしっかりと結べず、殺陣の部分などで着崩れてしまい 悩んでいたところでした。 さっそく明日にでもその方法でやってみようかと思います。 折角なので・・・お言葉に甘えさせていただきます。 刀の挿し方の資料を探しています。 何かありましたら是非教えてください! それでは、皆さんから応援いただいた分も頑張ります!! | |||
>>> 忠吉 男 千葉 -- 2005/09/15-09:09..No.[1754] | |||
栄香様 >刀の挿し方の資料を探しています。 >何かありましたら是非教えてください こちらが参考しなりますかと。 こちら ただ、こちらもいざやろうと致しますと困惑するかと存じ ます。また当流師匠よりお手解き頂きましたものとは若干 差異がごさいます。 そして、着物と逸脱いたします事は、こちらのコーナーの 主旨より逸脱致しましてご迷惑と成りますかと存じますの で着物以外のご質問がございましたならば、以後メールに て頂けますれば、宜しいかと存じます。 それでは、失礼致します。 | |||
>>> 栄香 女 東京 -- 2005/09/15-21:58..No.[1757] | |||
色々と本当にありがとう御座いました。 公演頑張ります!! 主旨からずいぶんと外れてしまい、申し訳ありませんでした。 | |||
>>> 朝路真行 男 兵庫 -- 2005/09/17-02:29..No.[1761] | |||
どうも朝路でございます。 皆さんいろいろお書きになっておられるので毎度余談を申し上げます。 まず腰板がずれると言う件ですが、袴下の帯の結び目が弱いか、低いと言うことが考えられます。専門の腰板を支える道具もありますが、今回のためにだけ使うのはもったいないので、まずは結び目を蝶結びにして大きめになさってはいかがでしょう? 袴下の結び目までは観客から見えませんからね。 それと殺陣の時には、力帯をなさってはどうでしょうか? 力帯とは、刀などの落下を防ぐために、袴の上から別布で帯を締める事です。用いるのは白布(木綿または晒しでも)で、ウエストの4倍ほどの長さがあれば十分です。 着付け方は、腰板に布の中心を当て前に持ってきます。この時布は、刀の上側を通過させます。そしてもう一度後に回して腰板を押さえるのですが、この時、布を交差させるのは、刀の上でさせます。横から見ると刀の鞘にXのように布が乗っていればOKです。 布は再び前に回します。次に布が通過する時には刀の下側を通らせます。後は前で蝶結びにします。 この結び目をだらりとさせたままでもよろしいですし、輪になっている部分を広げて、端を帯に差し込みますと、前にドレープが出来て派手になりますし、リボン状になっている両端を揃えて、少し捻って帯に挟めば、力強くなります。(これは天神差しを真似たものです) あとは刀の差し方です。忠吉 さんがご紹介のHPを御参考になれば判ると存じますが、武家の挿し方はかんぬき型です。通常男性は、帯を体に三巻きしますね。大刀は、体から外に向かって、一枚目と二枚目の間に差し、脇差(小刀)は、二枚目と三枚目に差します。こうすると大小が重なってガチャガチャしなくなります。 差す時は、脇差から差します。帯のおへその前あたりから差し始め、短い刀場合は、鞘の出っ張り=栗形(紹介のHP参照)が帯にかかる程度まで差し込み、長い場合は拳一つ分ぐらいの間隔を開けます。丁度鍔がおへその前ぐらいに来るようにします。 その後、大刀を差します。差し込む位置は、脇差の鞘が出ているあたりから入れます。大刀全体の長さの中心が、体の厚さの中心に来るようにします。 差し込んだ後は、左で大刀、右で脇差の鍔のすぐ下の鞘を持ち(鯉口と言う場所)、左と右に少し引き分けて刀を落ち着かせる所作をしますと、それらしく見えます。 横から見ると大刀が地面に対して平行で、ちょうど体を刀の真中まで貫通しているように見えるはずです。前から見ると、脇差が横向きになっていて、大刀の柄頭(HP参照)が見えているはずです。 | |||
>>> 朝路真行 男 兵庫 -- 2005/09/17-02:31..No.[1762] | |||
続けて申し上げます。 落し差は、一本しか刀を差さないやくざ者の差し方です。昨今のテレビ時代劇を見ますと、侍でも何でもこの差し方にしていますね。竹光の刀ですから可能ですが、本物であれば刀が落ちてきて歩けたものではありません。 刀を抜く時は、左手で鯉口を握り右手で柄を握り、左手の親指を鍔にかけて押し、左手首を使って、鞘をグッと左にねじって刀を抜きます。派手に見せる時は、同時に刀の柄をやや前下に下げて抜きます。またそれと同時に腰を落とせばそれらしく見えますよ。この形のままで刀を抜かずに静止すれば、『切るぞ!』という、臨戦体勢になった事になります。刀は決して上向けて抜きません。指や顔を切ってしまいますからね。前から見ると、真横に抜くか、下から上に向かって抜くように見えるはずです。刀を抜いた後は、鞘をグッと後に戻します。左足を引き右足を前に出せば、殺陣をする時に脇差や大刀の鞘が邪魔にならないはずです。 お芝居で刀を合わせるとき、つまり両者が刃と刃を合わせる時には、あらかじめ打ち合わせをしておいて、お客から見えないようにお互いの刀を握っている指の甲を合わせます。刀の刃が合わさっているようにするには、互いが逆方向に刀を傾け=手を左にしたら切っ先は右にと言う風にし、刃は少し触れる程度にします。刃と刃をまともに合わせますと、どうしても滑ってしまいますからね。力を入れて合わせればなおさら危険が増します。ですからこういう手を使います。 さらに使わない刀は、鍔に頑丈な糸を結び、栗形に結び付けておきます。 大刀でも、劇の前半は使わない場合などですと、ボタン付けようの糸などで同じ細工をしておきます。この程度の糸であれば、力を入れて抜けば簡単に抜けますからね。 以前もお聞きしましたが、役柄がわかりますと、衣装の事を申し上げられたのですが、今回は御参考までに長々と申し上げました。 舞台の御成功をお祈り申し上げます。 | |||