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 ■--夏に桜の柄は・・・。
 >>>しず  女  千葉  -- 2005/07/16-14:46..No.[1441]
    夏着物を購入したいのですが、桜が大好きで、どうしてもさくら柄の夏着物に目が行きます。が、やはり季節感のことを考えると、夏に桜の柄をきるのはおかしいのでしょうか?そのような商品が売られてる=おかしくないのか、それとも、いまの時代なんでもありになってしまっていて、本来はおかしいものなのか、教えてください。着物初心者なので、外出したときに年配の方の目などがとても気になってしまいます。




>>> 優妃讃良  女  埼玉 [URL]  -- 2005/07/16-15:05..No.[1442]
 
    こんにちわ、しずさん
柄は季節を考慮して着るのが、最上のオシャレですが、
これとは別に「名をイメージしたもの」や「趣味の表明」を意図して使う場合もあります。
橘さんという方が「橘」をイメージした色や柄を一年中使ったり、
宇野千代さんのように「桜が大好き」で一年中桜を使うようなものです。
このように季節を意図するものではない場合は、写実的な柄ではなく、イメージ化、デザイン化した柄を使います。
夏着物に使われる桜柄は大方は、このデザイン化された桜です。

桜がお好きならば、夏着物だろうが、浴衣だろうが、桜の図柄のお着物をお召しになって下さいな。日本人は桜が好きなので、どんな生地の反物でも桜柄があるんですよ。
 

>>> しず  女  千葉  -- 2005/07/16-17:01..No.[1443]
 
    ありがとうございます!さっそく、気になっている桜柄の着物を買いたいと思います!
 

>>> 朝路真行  男  兵庫  -- 2005/07/18-04:14..No.[1467]
 
     初めまして。朝路ともうします。

 優妃讃良 さんがお書きになっておられますので、毎度のことながら余談を申し上げます。

 着物の柄だけではなく、花鳥の模様には約束事があります。優妃讃良さんが仰るようにデザインのモチーフとして利用する場合と、その花の持つ意味や由来によって季節限定用、通年用と分かれます。

 判りやすく言いますと、ストーリー性がある柄は限定、そうでないものは通年、と言った具合です。例えば鴛鴦(おしどり)の模様は、黒留袖などによく用いられる図柄ですが、他の吉祥文様や花々と一緒に描かれていれば、これは御祝儀用として通年のものです。しかし、流水にただ鴛鴦が描かれていれば、初冬から冬にかけての季節限定になります。つまり鴛鴦が越冬に渡ってきたというストーリーがあるからです。

 花の場合も、桔梗のみ、あるいは女郎花やススキなどと合わせた秋の七草のみであれば、やはり秋限定の図柄。しかし、それに牡丹や菊、桜、菖蒲などが加われば、『四季花』といって通年の物になります。

 ちょっと判りにくいのは『梅』や『藤』ぐらいでしょうか。
梅は松竹梅の一つですからおめでたい柄ですが、『花の兄』という別名があるように、他の花に先駆けて、真冬の時期から一番最初に咲く花です。なのでデザイン化されていても、感覚的に冬から初春の柄に感じられてしまいますね。


 長々と余談を申しました。
 

>>> 優妃讃良  女  埼玉 [URL]  -- 2005/07/18-20:30..No.[1476]
 
    ケンカするつもりはないんですが、
『藤』のデザイン化されたもので、一番有名なのは、八つ藤の丸でしょうか。これは、装束に使う「有職文様」として一年中使います。
浮織りの帯で八つ藤の丸を使った柄のものは冬の袋帯にも夏の絽綴れにも見られます。
『梅』は江戸小紋の小梅柄は、時期なしだったかと。

はたまた、竜胆といえば秋の花ですが、「竜胆唐草」「竜胆襷」となると一年中です。

雪を図案化したものは、なんと夏着物の柄にも出てきます。これは「雪を見て涼しい気分になるように」という意味だとか。

まぁ、究極に図案化された文様の類は、季節を問わずですね。
写実柄、写実に近い柄は要注意ということで。
 

>>> 朝路真行  男  兵庫  -- 2005/07/19-04:56..No.[1480]
 
     どうも朝路でございます。

 優妃讃良 さんに補足して頂けるとは有難いことです。感謝申し上げます。

 ちょいと小難しいと、一人合点で有職文様などは端折ってしまいました。
優妃讃良 さんの仰るように、有職文様、そこから発展した家紋や繋ぎ紋(繋ぎ文様 襷文様)になっている花鳥は、デザインのモチーフ(基調)に使われていますから、季節は問いませんね。

 『藤』に関しては、藤の花(花房)だけなら通年、枝(ツル)があれば晩春から初夏、藤棚が模様になると、棚が写実であれば、やはり晩春から初夏、棚が象徴的であれば通年・・・と、まぁややこしい話ですが、これが染だけの場合、染めに刺繍が入る場合、絞りの場合などなどでも変わってくると古老から聞きました。こうなると感覚の問題ですね。

 そう言えば、雪輪や露草の模様もあまり見かけなくなりましたね。祖母が雪輪だったか露草の織地に、雪だるまと雪兎を描いた夏帯を持っていましたよ。昔に流行った柄だったそうですが、洒落の利いた柄だったと記憶しています。

 しず さんの御質問の趣旨に立ち返りますと、桜がお気に入りとのこと。
藤原氏が、名に因んで『藤』をモチーフに様々な柄を作ったように、御自身のお好みの柄を身に付ける事に季節は問いません。

 これからも素敵な桜模様が見つかればよろしいですね。
 

>>> しず  女  千葉  -- 2005/07/23-01:45..No.[1515]
 
    いろいろ教えていただきありがとうございます。
花にはあまり詳しくありませんが、花からイメージする季節ってやっぱりありますよね。今年初めて浴衣を購入しましたが、夏の浴衣に、いろんな季節の花がデザインされていて、結構びっくりしました。
藤も、梅も、桜も、何でもありって感じでした。

ところで、今度桜の着物で外出したいと考えてますが、ぞうりの柄は紅葉・・・。これはやはりおかしいですよね?
先日帯を買うときに、気にいった帯が梅の柄でした。
お店の人は「桜の着物に梅の帯でもおかしくないですよ」というのですが、本当におかしくないのでしょうか?
 

>>> 朝路真行  男  兵庫  -- 2005/07/23-06:27..No.[1516]
 
     どうも、朝路でございます。

 いろいろ御覧になりましたか。では図柄の豊富さや柄の使い方もお判りになったと思います。前回の投稿に書きましたが、最終決断はその人の感覚の問題です。個人の好みにまでどうこう言うことは出来ませんからね。どうぞこれからもいろんな柄を御覧になってください。

 さて、お尋ねの『桜』と『紅葉』の取り合わせですが、合わせる分には何も問題はありません。桜と紅葉を同じ図柄に収めるのを『吉野竜田』の柄といいます。吉野山の桜と竜田川の紅葉ということですね。どちらも和歌に詠まれるほどの名所です。
 柄の取り合わせに、これとこれはダメ、これならOKという決まりは特にありません。柄の合わせ方よりも、場所によって配慮すべきものです。

 桜の着物に梅の帯もおかしくはありませんよ。ただ図柄を見ておりませんので推察するのみですが、帯で梅の柄ということは、梅文様だと存じます。
着物の桜の柄も、花だけのものではないでしょうか?おそらくはデザイン化されたものの組み合わせなので、呉服屋もOKと言ったのでしょう。

 着物と帯の取り合わせには、季節の物同士を合わせる方法や季節に関係ない『雑』や『アイ』という方法、御祝儀には吉祥文様を合わせますし、『対』といって諺や洒落を利かせた物もあります。これらもまた、人それぞれの感覚によりますね。

 たとえば季節もので、梅雨時期ですと紫陽花の着物に蛇の目傘をあしらった帯。牡丹の着物に蝶の帯に合わせるのは『対』ですね。お祭りの時期ですと同じ牡丹の着物に獅子の帯を合わせるのも『対』です。

 しずさんも、御自身でいろいろ組み合わせを考えられてみてはいかがでしょうか?また違った着物の楽しみ方が増えるかと存じますよ。
 

>>> しず  女  千葉  -- 2005/07/23-08:32..No.[1517]
 
    いつも丁寧な回答をいただき、本当にありがとうございます。
おっしゃるとおり、いろんな柄がありすぎて、本当に難しいです。
私の感覚ですと、洋服では柄&柄ということは皆無に等しく、無地&柄の組み合わせがほとんどなもので、着物の本を見たときに
「柄の着物の上に柄の帯!」「花柄の上にストライプ!」と本当に驚きました。
今では、見るのは「勉強になるなー」と思いますが、いざ自分で決めようと思うと、全然決まりません。結局着物のなかから一色選んで、無地に近い無難な帯になってしまいます。

悩みながらも楽しんでいるのですが、この「悩み」が箪笥の肥やしを増やしています・・・。