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 ■--亡母の芭蕉布という反物生地で
 >>>藤沢  男  神奈川  -- 2005/07/20-21:16..No.[1506]
     「カテナ」と読める地名で作られたらしい芭蕉布という細かい格子柄の反物が1反あります。7,8年前のものですが、さらさらしていて、肌色を濃くしたような色合いです。これで男物の甚平を作製したいんですが、大丈夫でしょうか?何だか透けるような生地でパリッとしているようにも思われます。




>>> 朝路真行  男  兵庫  -- 2005/07/21-04:09..No.[1507]
 
     初めまして、朝路ともうします。

 芭蕉布とは結構な物ですね。芭蕉布は絹とは違い、麻や木綿と同じ植物性繊維の織物です。芭蕉(バナナの一種 食べるバナナとは違います)の葉を様々な工程を経て繊維だけ取り出し、紡いで織り上げる沖縄地方特産の織物です。
 1本の芭蕉から数十グラムの糸しか取れない上に、糸が取れるまで芭蕉を育てるのに2〜3年かかります。しかし上質な糸を取り出すには、それ以上の時間がかかります。着尺分一反に200本以上の芭蕉が必要です。その上に繊維を取り出す工程は気の遠くなるようなものです。
 戦前より以前は、数多く織られていましたが、戦後は絶滅寸前にまでなり、現在も流通数は左程多くはありません。よって大変高価な物です。

 芭蕉布にも種類があり、普段着や野良着用の物もありましたが、現在流通している殆どは、高級夏用生地のみと言っても過言ではありません。
 文面から推察するところ、御母堂様のお形見との事ですから、女性用の高級呉服生地であると存じます。つまり襦袢を下に着ることを前提に織られているものです。
 私見では『甚平にするには勿体無い・・・』と存じますが、使わずに箪笥の肥やしにするのも勿体無いかもしれませんね。
 ただ、甚平にするのに心配なのは、強度的なことです。先程も申しましたように、野良着や作業用に織られたものではないと存じますので、ごく繊細な物かと存じます。これは着たらバリッと破れてしまうという意味ではありませんよ。形状的なことです。
 また洗濯機でジャブジャブ・・・と言うわけにも行かないと存じます。植物性ですから極端な乾燥も湿度にも弱いものです。
 甚平にされることを、お留めするわけではありませんがお勧めはしません。 一度、呉服屋さんなど専門家と御相談された上で、ちゃんとした裁縫士の方に仕立ててもらうのがよろしいかと存じます。
 

>>> 藤沢  男  神奈川  -- 2005/07/21-16:24..No.[1509]
 
     早速ご回答ありがとうございました。おっしゃる通り少しごわごわした生地で透けています。どうするか暫く考えてみることにいたします。
 
 僕は着物が大好き(色彩や古典の柄など)ですが、自分では着物は絶対に着たくありません。(恥ずかしくて外へ着て行くのがイヤですし、近所でも友達中も男は誰も着ていません)ですから母が大島紬のお対を仕立てて呉れましたが、ずいぶんと仕舞ったままです。
 母の着物はすべて形見分けで処分したんですが、この芭蕉布と結城紬と黄八丈の3反は思い出の為に取り置いてあったのです。このうち黄八丈は渋い金茶の縞の反物だったんでアロハシャツに仕立てました。

 というわけで浴衣も嫌いですので、せめて甚平なら、着て近所を歩けるのではと思ったものですから!また、機会があったなら色々とお教えください。
 

>>> meazky  男  沖縄  -- 2005/08/25-02:11..No.[1648]
 
    芭蕉布をお持ちですか。
それはぜひとも長着に仕立てていただきたいですね。
芭蕉布は今でこそ高価な反物ですが、本来は沖縄の庶民生活の中
から生まれたものですから、夏の暑い盛りを過ごすには最適の一枚に
なることでしょう。
透けるような生地とのことですが、それはよほど上質なものではないか
とおもいます。
ちなみに地名は嘉手納ですね。カデナとよみます。
現在は大きなアメリカ軍基地がありますね。
芭蕉布の産地はいまでは大宜味(おおぎみ)村喜如加(きじょか)を
残すのみです。後継者は残念ながらいません。
沖縄の芭蕉布が途絶えてしまうのが秒読みに入ってしまっています。
沖縄に住み、沖縄を愛するものとして、芭蕉布がみなさんの生活の中で
いまだに息づいていることをうれしく思います。

なにか妙な文章になってしまいましたが失礼します^^