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 ■--根付の付け方は?
 >>>案山子  男  東京  -- 2005/07/31-02:55..No.[1549]
     先日友人から根付なるものを貰ったのですが、付け方が分からず途方にくれています。
 少し調べたところ、昔の印籠などが落ちないように留め具としてつかっていたらしい……のですが、阿呆な私はこれだけではどのようになるのか分かりません。昔、女性が携帯のストラップ代わりにブラブラとぶら下げていたのは見たことがあるのですが、私が貰った犬の根付は普通にぶら下げると、犬の頭が下になってしまい、何だか変です。
 もしかしたら、帯に挟み込むとか、もっと違う付け方をするのでしょうか?




>>> 朝路真行  男  兵庫  -- 2005/07/31-06:38..No.[1550]
 
     初めまして、朝路と申します。

 文面から推察するしかないのですが、大きさは親指程度の犬の根付で、頭が下がるということですと、紐を通す穴は犬の腹部(裏側)にあるということでしょうか?

 根付は緒(紐)の先に結びつける飾り物の総称です。案山子さんがお調べになった通り、本来は印籠や煙草入れ巾着などが帯から落下するのを防ぐためのものです。
 使用法は、根付を帯の下側からもぐり込ませて帯の上から出します。つまり、帯と体の間に紐が通り、根付がストッパーになって紐の先にぶら下げている物が落ちなくなります。取り外す時は、根付を帯に押し込み、紐の先のもの(印籠など)を引けば簡単に外れます。
 この手の根付は落ちにくく、また外す時に帯や着物に引っかかって傷つけないように、中心は分厚く、全体に丸みを帯びた形をしています。
 
 案山子さんの犬の根付は、その形状に当てはまりませんか?
 
 根付は緒の先になにをぶら下げるかで大きさも重さも変わってきます。ぶら下げる物と根付のバランスが合うと、自然に根付は帯の上で正面を向くはずです。とはいえどんなに大きくなっても掌に収まるサイズまでです。それ以上の大きさ、あるいは着物を傷つけるようなゴツゴツした作りの物は、愛玩用になります。また棒状の物は、挿し根付と言って、根付を扇子や刀のように帯に挿して使います。ぶら下げる物が極端に大きな物だったり重い場合に使います。

 本来は落下防止の留め具でしたが、服装の変化によって用途も増えました。
 時代劇などで芸妓の帯から銀細工の飾り物がユラユラしているのを見たことはありませんか?あと昔のがま口財布の端に干支などの飾り物がついていたのを見かけたことはありませんか?
 物は先ほど申した根付とは変わり、形も小さく偏平なものが多いですね。これらも根付ですが、落下防止の役だけではなく、取っ手の役目を果たす根付です。
 現在もっともよく目にする根付はこの種類ですね。とは言え、取っ手の役目は根付についた緒(紐)であり、根付は飾りの役目とその紐が取りやすくするために付いています。飾りですからぶら下がった時に正面になるようデザインされ、紐を通す部分も上側についているはずです。
 この手の根付は、主に女性用です。例えば男性と同じように巾着をぶら下げようとしますと、女性の帯の幅は広いので、根付を帯の下から上に通すのは難しいですね。ですから女性は帯の間に仕舞います。しかし上から見えるような位置に仕舞うと、見た目も悪いですし、スリなどの盗難にも合いやすい、だからと言って奥まで入れ込むと、今度は下から落下する恐れもあります。そこでこの手の根付は、帯の丁度よいところで留める役目と取り出しの補助を担っています。この手の小さい根付に、小さな鈴が付いていたりするのも落下した時に判りやすくするためです。
 
 現在でもがま口財布を御覧になったら、おそらくどちらかの端に、根付の緒を通すための環(穴)がついているはずですよ。実はあれ、帯に挟んで仕舞っていた頃の名残なんですね。

 芸妓の場合、根付の先には鏡や懐紙入れが付いています。旅館の仲居さんですと栓抜きでしょうか?(笑) 私の場合は煙草入れの巾着などを引っ掛けていますが、禁煙の席に臨む時ですと臭い袋に換えたりしています。
バランスさえ合えば携帯電話でもいいかもしれませんね。(携帯そのままですと万が一の場合がありますからケースに入れてからの方がいいかもしれません)

 御参考になりますでしょうか? 

 

>>> 案山子  男  東京  -- 2005/08/02-03:03..No.[1555]
 
    なんと! 百科事典なみに詳しい説明をいただき、ありがとうございます。大変参考になりました。根付に男物と女物の違いがあったとは……
想像もしませんでした。
私は煙草を吸わないので、何をぶら下げるか悩みますが、小さめの巾着を見つけて、携帯でもいれてみようかと思っています。
これでまた着物を着る楽しみが増えたようです。
朝路様、ありがとうございました。