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 ■--本麻上布のキングサイズについて。
 >>>トミオ  男  神奈川  -- 2005/06/23-23:47..No.[1319]
     とうとう暑い季節の到来です。暑いと言っても身形だけはシャンとしていたくて、よそ行きはいつも紗の羽織を重ねての外出を心がけています。
 さて、夏とくれば麻の着物が殊に心地よいのですが、裄2尺を着る私は恥ずかながら精々「小千谷ちぢみ」か蚊がすりの「能登上布」位しか持ち合わせがありません。でも、本麻の着物といえば、蝋で引いたような風合いの「宮古上布」、または雪原を夏に映したような「越後上布」が王道を行くものと教わったことがありました。ほかに「八重山上布」も逸品だとか。着心地の点においても、ラミー麻を原料としている「小千谷ちぢみ」などとは比較にもならないほどのものだそうです。
 そこで私もこれらの内の一つ位は欲しいと、貯金をはたく覚悟で探しましたが反幅の広いものは皆無で、しかも殆んどが婦人物でした。国の重要無形文化財に指定されている程の品物なのに、なぜキングの男物が存在しないのでしょうか?実際これだけのものを袖継ぎ仕立なんかしたくありませんからね!
 もし幅広の「宮古上布」、ほかに幅広「本芭蕉布」などの存在をご存知の方いらっしゃればご教示くだされたくお願い致します。




>>> かもめのたまこのダンナ  男  神奈川 [URL]  -- 2005/06/25-20:14..No.[1328]
 
    トミオさん、はじめまして。
並幅で間に合ってしまう私に比べて、長身の方は色々ご苦労されているようですね。

私のつたない知識で申し上げます。
宮古上布などの伝統的工芸品は、ほぼ地機や高機で手織りされております。
地機や高機の場合、その規格上「並幅」のものしかありません。以前宮古上布の織の工程を見させていただきましたが、並幅以上のものは作れないと思われますので、恐らく他の上布も同じだと思います。

しかし全く無いとは断言できませんので、伝統的織物に強いお店などでお問い合わせになると良いと思われます。横浜では1件心当たりがありますが、他所様のHPでお店の紹介をするのは気が引けますので、メール下されば返信いたします。





 

>>> トミオ  男  神奈川  -- 2005/06/25-22:20..No.[1330]
 
     かもめのたまこのダンナ様。ご親切にご教示くださりありがとうございます。やはり宮古上布等のキングサイズは無さそうですね!得心がいきました。焦らずゆっくりと、もし出会ったら儲け物の覚悟で行くことにいたします。
 それよりも、この神奈川県下には心強い着物ファンがいらっしゃる事が嬉しき限りです!今度、横浜辺りでオフ会など開いて、着物談義に花を咲かせみてはいかがでしょうか。きっと楽しい集いになると確信しております。
 

>>> ボブ  男  埼玉  -- 2005/06/25-22:28..No.[1331]
 
     お急ぎであれば銀座もとじか萌、および高島屋、三越、伊勢丹の本店呉服部に相談するのが良かろうと存じます。

 この春に、上記店舗で越後上布の1.05尺幅や、同伝統工芸品の1.1尺幅を見かけました。また大手百貨店は全国の問屋にルートがあります。実際、某店は相当ピンポイントな条件どおりの幅・絣・色の反物を1週間ほどで調達してきました。ただ、芭蕉布と宮古上布、八重山上布の幅広は出会ったことがありません。そもそも女性向けが中心だからでしょうか。

 上記のように幅広物が無い訳ではありません。反物の幅は縦糸をセットする「筏」次第で、高機、地機ともキングサイズはもちろん、袴地の様な1.3尺幅以上のものが織られ、販売されています。ただ、男の幅広物の需要自体がなく、整経も筏を変えるのも面倒で、まして希少品の上布となれば、出会いは稀です。

 気長に待つ事を楽しむのもオツです。織り元は時折、気まぐれに超幅広物や実験的な反物を織ります。小生も1.2尺幅の縦横無撚真綿紬の「試しに一反だけ織ったが売れん」という出羽の織り元の在庫品を拾ったことがあります。小売店主催の大型展示会を巡り、雑談の後に奥から1.15尺幅の細かい亀甲絣の能登上布が出てきたこともあります。1.3尺幅の絣柄上布を一足違いで他の方に取られたこともありました。

 金に糸目を付けないなら、小売の紹介か自力開拓を通じて特注という手もあります。和装品は元来手作りなので、特注でも価格は変わりません。ただ、相撲取りはタニマチが超幅広物を買ってくれるそうですが、自腹で上布のキングサイズ特注となるとベンツ1台分は覚悟でしょうか。小千谷縮も悪くありませんですよ。
 

>>> かもめのたまこのダンナ  男  神奈川 [URL]  -- 2005/06/25-23:15..No.[1332]
 
    ボブさん、恐れ入ります。勉強になりました。
トミオさん、誤ったレスをしまして申し訳ありませんでした。

先ほど信州紬の織元さんに問い合わせたところ、織り幅は地機・高機とも変えることは可能だということでした。
いやはやお恥ずかしい限りです。重ねて失礼を致しました。
 

>>> トミオ  男  神奈川  -- 2005/06/26-01:05..No.[1334]
 
     ボブさん、ご丁寧にいろいろとお調べ下さり誠にありがとうございました。大変為になるお話で、感服しております。かもめのたまこのダンナさんもお手数を煩わせました。重ねて御礼を申し上げます。
 
 実は昨日、仕事休みだったので日本橋まで行き、某百貨店にてこれらの反物について尋ねたところ、ボブさんのおっしゃる通り、越後上布に関してはキング幅の反物があるにはあるとの事でした。

 ただ、僅少の品物ゆえに常備しておらず、取り寄せ又は誂えで百亀甲絣のものが1反180万円から200万円、縞格子で130万円前後だということです。勢い購入も一瞬考えましたが、果たして自分がはおったところでそれほどの着映えがするものかと、何ともいえない気持ちになってしまい、所詮自己満足でしかないんだと自分に言い聞かせながら何のアクションも起こさずに百貨店を後にしました。

 和服って凝ればキリが無いんですね!これからももっと勉強しながら楽しみたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 

>>> 田舎もんのトトロ  男  栃木  -- 2005/06/27-12:27..No.[1343]
 
    こんにちは。

宮古上布や越後上布、苧麻(からむし)のものをお召しになられるとき、
気後れしてしまうのは当然でしょう。お値段のことももちろんありますが、
江戸時代なら、大名でもなければ着ることができなかったのですから。

さて、上布についてですが、こんなものがございます。

こちら

こちら

宮古上布にも、広幅のものはあるにはあるようです。
ここで、あるにはと書きましたのは、上の上布をご覧戴きますと、
証紙が一枚しか貼られていないので、どのようなものか詳細に確認する
必要があると思います。

実際、宮古上布の入手の難しさは、作り手がいないことに依ります。
伝統工芸士のものなら、伝産マークのシールが貼られますが、
そうでない方々が製作したものだと、貼ることはできません。
重要無形文化財の指定は受けてはいるようですが、組合に属している
方々が製作されなければ、重要無形文化財にもなりませんし。

これらにつきましては、トミオさまがどんなものを欲してらっしゃるか、
つまり、伝産マークがついてなければダメ、重要無形文化財でなければダメ
などの基準をはっきりさせる必要があると思います。これにつきましては、
越後上布も同様と思います。

私の知る呉服屋さんですが、琉球ものに比較的強いのは、

こちら

です。こちら、琉球ものに詳しい問屋さんとの取引きがあります。宮古上布(琉球藍、亀甲絣、幅尺)や他のもの(南風原美絣など)を触らせて戴いたのも、こちらの呉服屋さんの展示会でのことでした。

越後ものに強いのは、

こちら

です。永浦さんのところで、何度か越後上布を目にしています。昭和村で織られたものもあったことがございます(苧麻の生産だけではなく、製機も行い、製品にしたもので、重文ではありませんが)。越後のものでも、重要無形文化財のものかどうかは良く確認なさった方が良いと思います。機械績みの糸を一部に使うと、重要無形文化財にはなりませんが、価格のこなれたものになるようです。

琉球ものは、

こちら

も強いようで、以前、八重山上布(これも、一部にラミーを使ったもの)が出ていたことがあります。私の寸法で仕立てられるかどうか問い合わせまではしたのですが、伊勢型紙の小紋の支払い中で、諦めました。白地に、青の縦縞でした。

いずれに致しましても、いつも商品があるわけではありませんので、お店選びなどをしながら、気長にお探しになられるのがよろしいかと思います。

では、ごめんなさい。

 

>>> 田舎もんのトトロ  男  栃木  -- 2005/06/27-12:33..No.[1344]
 
    付け足しです。

芭蕉布ですが、こちらは、平良敏子さんの努力、尽力により、しっかりとした工房ができているそうです。ですので、こちらは、今後も、品は出てくるようです。ただし、女性ものでも、一年待ち以上とも言われることもあるようで、男物の着尺が出てくるかどうかは?です。
男物の芭蕉布の帯は、先の大江戸きものさんで出ていたのを見たことがあります。

また、宮古上布の角帯

こちら

もあるようです。

では、ごめんなさい。

 

>>> トミオ  男  神奈川  -- 2005/06/27-21:11..No.[1347]
 
     田舎もんのトトロ様、お忙しい中いろいろとご教示くださり誠にありがとうございます。大変参考になりました。

 探求の結果、この類の反物はけして廉価なものではありませんので、好きな色、好ましい柄等を見極めて、一生もののつもりで焦らずゆっくりと探す決心がつきました。

 ご回答を頂きました皆様方、心より感謝申し上げます。重ねて厚く御礼を申しあげます。
 

>>> ボブ  男  埼玉  -- 2005/07/21-10:41..No.[1508]
 
     一点、訂正です。

>上布のキングサイズ特注となるとベンツ1台分は覚悟〜

 は不正確でした。先日、仕事がてら石垣島のお土産ショップ「ミンサー工芸館」を訪れました。奥の箪笥に伝統工芸指定無しの絣柄の八重山上布が30-70万円で40反以上、在庫されており、サイズも40cm(一尺5分)までありました。一尺一寸の反物も同じ値段で柄も指定の上で織れるとの事です。

 また、伝統工芸指定ありの幅広・男縞八重山上布を、50-60万円で別注に応じてくれる織り元も無くは無いです。名前等は出せないのですが、狭い島なので訪れれば高い確率で行き当たると思います。

 ただし問題もあり、納品は1年半後、営業日が平日のみ(ミンサー工芸館は休日も営業)、加えて石垣島は沖縄本島から更に700kmと遠く、交通費・宿泊費負担、移動・相談・発注のため相応期間を要します。

 ちなみに隣接する竹富島では芭蕉布に接することが出来ます。