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 ■--煙管ケースと煙草入れについて
 >>>伊賀者  男  三重  -- 2005/04/04-22:54..No.[1029]
    みなさんはじめましてお世話になります

筒状のキセル入れに紐で革の煙草入れが付いた小物がありますが
これは帯のどの部分に挿すものなんでしょう?
左脇に刀の様に挿すと骨盤に当たって痛いんですけどそういうもの
なのでしょうか・・・

また挿す場所によって身分がわかると聞いたことがあるのですが
これについてご存知の方がいらっしゃいましたらお教え願います
よろしくお願い致します




>>> 朝路真行  男  兵庫  -- 2005/04/05-00:40..No.[1031]
 
     初めまして。朝路ともうします。

 仰ることから推量して、入れ込み式の筒状の煙管入れ、通称「ポン筒」のことかと存じます。挿す位置としては、仰るように刀と同様に左脇に挿しますが、大刀の位置ではなく、扇を挿す位置程度にします。ようするに、下がっている煙草入れが、臍の位置より少しだけ左になるようにします。
 ポン筒ではありませんが、奇木や細工を施した棒状のものに、キセルを
引っ掛けるように入れ込む方式のものもありますが、これも同様に挿して使います。この手のものは実用的というより、愛玩用と言ったほうがよろしいでしょう。なのであまりにも寸法が長かったり、帯に挿すには太すぎるものは実用品ではない可能性があります。 先ほど申し上げたように位置をずらしても腰骨に当るようであれば、その手のものかもしれません。
 煙草・煙管入れは、喫煙道具を携帯するためのものですから、室内に入った場合には、腰から外すのが通常です。

  煙草入れには色んな種類があり、ポン筒は羽織を着る階層=旦那衆などが主に用いるものです。武士階級は、大小を挿しますので、「懐持ち」や「袂入れ」と言った布製(金襴地や名物裂、なめし皮、相良刺繍などを施したもの)の物を用います。またそれ以外には提げ物と言って、煙管入れと煙草入れを一緒に繋ぎ、根付をつけて腰に提げるものがあります。これは右脇の腰にぶら下げます。ちょうど印籠を下げる位置ですね。職人をはじめ庶民が最もよく用いる形状です。
 挿し位置によって身分がわかると言うのは、この為ではないでしょうか?

 印籠や煙草入れは、数少ない男性のアクセサリーでしたから、皆が自慢の一品を競ったものです。ために非常に高価で、珍しい形をしたものなど実用的ではないものも多く作られました。
 当時のタバコは大変貴重で、値も高く、喫煙は贅沢なものでした。なので煙草入れ・煙管入れを持つ事も金銭的に余裕がなければ無理なことでした。
時代劇などで見る、吉原遊郭などの『吸い付け煙草』という風習もこの名残からなのでしょうね。また茶店などの店先に、長煙管と煙草盆が置いてあったりするのも、店のサービスの一つなのです。庶民の中には煙管さえ持ってなかった人もいたと言う証拠ですね。歌舞伎などでは、煙草入れ・煙管の優劣や種類で、身分の上下や職業、人柄を示す小道具にしています。

 以上、聞き覚えたことを長々と申しました。
 
 御参考になりますでしょうか?

 

>>> 伊賀者  男  三重  -- 2005/04/05-23:16..No.[1035]
 
    朝路さん、はじめまして 伊賀者と申します

詳しい返答ありがとうございます!
通称「ポン筒」というのですか、初めて聞きました!

実は実家の倉庫を整理していましたら私の曾爺さんが使っていたと思われるこの「ポン筒」が出てきまして
豪華な装飾などはなくいたって地味な普通のものなんですが、最近着物に興味を持ち出し、着るようになった私にとっては憧れていた品です

意気揚々と帯に挿したもののイマイチ収まりが悪く「こんなもんなんかな?」と疑問に思い質問させて頂きました

なるほど、脇ではなくお腹の前辺りに挿す物なんですね
また室内に入ったら外すというのも納得です
挿す位置によって身分がわかるというのもそういう違いがあるのですね
歌舞伎では役柄を表すための重要な小道具となるというのも興味深いです

大変参考になりました
色々と詳しく返答して頂きましてありがとうございました