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 ■--結納返しに和服ひと揃えを考えています
 >>>藤原香子  女  東京-[URL]  -- 2005/05/17-16:38..No.[1141]
    みなさま、初めまして。藤原香子と申します。
宜しくお願いいたします。

私は来年大阪に嫁ぐ予定なのですが、結納返し(正確には、婚約指輪のお返し)に何が良いかと考えていたところ、和服ひと揃えが良いのではないか、と思いつきました。
(両家とも厳かな儀式や風習にはこだわらないので、このように自由な発想で考えております。)

スーツを仕立てるとは良く耳にするのですが、彼は営業の仕事をしていてスーツはほぼ消耗品と化しており、汚れも激しく、たまに破けることもあり、記念の品にふさわしくないと思ったのです。

礼服も考えたのですが、彼の兄弟はすでに結婚していて使う機会もなさそうですし、そこで思いついたのが、彼もほしがっている和服ひと揃えでした。

彼はまだ着物を一枚も持って居ないのですが、私が茶道や和裁をしていることもあり、着物にとても深い関心を持ってくれて、結婚してからは着物を共通の趣味にしたいと考えております。
また、彼の実家の母も民謡の先生をしていて、着物を着ることには大変理解のある方だと思っております。

そこで皆様に伺いたいのは、和服ひと揃えと言っても、まず初めて着物を揃えるにあたって、どのような用向きのものが適しているのか、また、それを揃えるにはどれくらいの費用を用意したら良いのか、教えて頂きたいのです。
(生地の質や産地によっても違うと思いますが、目安で結構です)

私としては、初詣や観劇に出かけるのに着られそうな、ベーシックな紺やグレイのアンサンブルを、と思っているのですが、恥ずかしながら、男性の着物に関しては全く知識がありません。

余計なことを申しますと、彼は今年で35歳(私は26歳です)、背は164センチで、かなりがっちりした体格(お腹も少し出ています)、髪型はほぼ角刈りに近く、雰囲気としては、貫禄があると言いますか、年齢よりも上に見られることのほうが多いようです。

突然の質問で申し訳ございませんが、どんなことでも結構ですので、何かアドバイスを頂けたらと思います。宜しくお願いいたします。




>>> 朝路真行  男  兵庫  -- 2005/05/18-06:19..No.[1142]
 
     初めまして。朝路と申します。まずは御婚約おめでとうございます。
結納は本来、婚儀に必要な品々を用立てるためのものですから金銭に替えるようになったのは時代がぐっと下がってからのことですね。未だに『小袖料』『袴料』と衣服の名前が付いているのもそれが由来しています。

 さて、お話をお伺いして、藤原さん御自身が判断されるべき点が3つあります。

 1.一式の範囲をどこまでとするのか?
 2.仕立てあがりを送るのか?反物で送るのか?
 3.茶道を習われているとのことですが、将来夫君も茶会などに
   参加されるのかどうか?

 これらで、費用と選ぶ着物の材質が変ってきます。

 まず一式をどの範囲にするかということですが、通常は他者に着物を送る場合、着物(中着または長着)分の反物を送ります。羽織地まで含める場合はアンサンブルの物を送ります。羽織と着物を別生地で送ることはしません。
また襦袢地、衿、帯、羽織の紐などの小物類、肌襦袢などの下着類、足袋は、先方が持っているもの、あるいは用意するものです。判り易く言いますと、スーツからネクタイ、靴下、パンツまでこちらで揃えてプレゼントすることはありませんよね? 着物以外あるいは帯以外のものを送る場合は、ごく内輪の贈り物の場合です。
 とは言え、昨今のことですし、堅苦しく考えず、また先方の御事情(文中:彼はまだ着物を一枚も持って居ないのですが)をお察ししますと、やはり下着類までをお考えになるべきですね。
 どのような結納式になされるか私にはわかりませんが、少なくとも何かしらの宴席を持たれてなされることであれば、着物羽織の一揃えをお持込になり、その他の品は後日お二人で品定めなされるのはどうでしょう?
 これと同様に考えますと、当日までに仕立てるべきか、後日に仕立てるべきかも決まると存じます。
 東京から大阪へのお輿入れとのことですから、場所により仕立て代も変ってきます。それによって店の選び方も違ってきますね。東西に支店のある大手百貨店などで購入するのか、同様の呉服店にするのか、地域個々にあるお店にするのか。
 以前に投稿しました折、田舎もんのトトロさんから『地方の価格』と御指摘いただきましたが、紬のアンサンブルの場合、仕立て代込み20万円を一応の目安にされればよいでしょう。
 

>>> 朝路真行  男  兵庫  -- 2005/05/18-07:32..No.[1143]
 
     続けて申し上げます。 先ほど紬のアンサンブルと申しましたが、3で申しましたように、茶会あるいは礼服としてお使いになる場合は、紬の他に選択肢を広げねばなりません。また袴も必要となります。昨今のことですから他者の結婚披露宴やパーティー程度なら、紬でも充分に通用しますし、羽織に縫い紋の1つでもあれば言う事はありません。ただお茶会になりますと、流儀や茶会の格式にもよりますが、紬はNGの場合が多いです。そうなりますと羽二重、お召しなどの縮緬を考えなくてはならなくなります。
 私的には、入門用の着物であれば紬で充分と存じます。また袴に関しても汚れやすいものですから、化繊のものでよろしいかと存じます。化繊の袴の場合は3万円前後あるいは以下で出回っています。
 次に帯ですが、他の方々の御意見もあるでしょうが、入門用であれば、綿のものがよろしいかと存じます。1万円内外で色んな物が揃っています。化繊の物は避けられた方がよいでしょう。帯は締めてみないと良し悪しはなかなか判断できないものです。絹物の上等だといっても、ツルツルと滑るものもありますから、まずは崩れ難い綿から始められたほうがよいでしょう。
 次に襦袢ですが、着物と共に購入を勧められる場合が多いですね。個々で判断するべきは、御夫君になられる方が汗っかきかどうか?ということです。せっかくの絹の襦袢を汗で汚して、着るたびにクリーニングでは傷んでしまいますからね。綿の半襦袢という手もありますし、他にも方法があるかもしれません。呉服屋と相談されてみるのもよいでしょう。
 先ほど申しました、20万円というのはあくまでも目安です。この範囲内で帯まで含めての価格の場合もありますし、それ以上になる場合ももちろんあります。ただ入門用とするならば、着物、襦袢、帯などを含めて20万内外のものでよろしいかと存じます。(内訳は着物羽織に10万、帯、小物に10万)
 余談ですが、東京なら銀座、大阪なら阪神百貨店内にある『むら田』という呉服屋があります。私は大阪の担当者しか知りませんが、八木氏という方は何かと相談に応じて揃えてくれます。藤原さんにも御贔屓のお店がおありでしょうからじっくりと相談なされるのもよろしいかと存じます。

 色目に関してですが、仰るように紺系かグレー系が無難だと存じます。文面から年配に見られるとか御心配もおありのようですが、色の濃淡によって顔の映りも違いますし、また着物の色目よりも帯や羽織の紐などとのバランスが重要です。グレー系なら、銀に近いものもありますし、錆びた色目もありますよね。日に焼けて褐色に近いお顔の色であれば明るめの色を、色白の方であればはっきりした色がよろしいでしょう。シルバーに近い着物に黒ぽい帯ですと、やくざ風になるかもしれませんし、茶では年配風になるかもしれません。抹茶色よりももう少し落ち着いた緑ですと、若々しい感じにもなります。やはり小物類はお二人揃ってお見立てになるのがよろしいでしょう。

 色々と申しまして散文になりました。御容赦ください。

 どうぞ良い記念になるものが見つかりますようお祈り申し上げます。
 

>>> 優妃讃良  女  埼玉  -- 2005/05/18-11:37..No.[1145]
 
    ご婚約おめでとうございます。
「結納返しにお着物を」とのことですが、大変よろしいことと思います。
お相手の方の体格も、いかにも着物向きな方のようですし。

着用目的として「初詣や観劇に行く」というのは、昨今としては一番用途の広いお着物です。贈り物としては、この格は良いでしょう。
で、お生地ですが、大島やお召しがよろしいかと思います。適度の艶があり、お茶席でも使えます。また、お式までに仕立てて、新郎のお色直しに使うこともできます。(その場合は、新婦のお衣装も、打ち掛けではなく、バランスの良いお着物にしましょう)

ただ、普通の紬よりも若干高額になります。無地お召しで反物で20万余位になります。
また、朝路さまがご提案のように、化繊の無地袴も揃えられるとよろしいと思います。着物は着流しですと、洋服とは異なる歩き方が必要となりますが、袴ですと、そういった気兼ねがいりません。また、多くの汚れは意外にも胸下から下の袴を穿いている部分につくことが多いのです。より気楽に着物をお召しになることができます。

男性の着物を扱う店は少ないので、お店を探すのが難儀かもしれません。
大島、お召しの類で私のお気に入りは渋谷にある「玉川屋」さん、銀座にある「もとじ」さんです。男性向けの着物が良心的な価格で置いてあります。
 

>>> 藤原香子  女  東京 [URL]  -- 2005/05/18-17:01..No.[1147]
 
    朝路真行様、優妃讃良様、初めまして。
親切にお答え頂き、大変参考になりました。誠にありがとうございます。

紬のアンサンブル、化繊の袴、綿の帯に綿の襦袢・・・男性のきものの知識が全くなかった私ですが、お二人のお話のおかげで、とても具体的なイメージが湧いてきました。

ひと揃えというのは、足袋下着まですべてと思っておりましたが、両家顔合わせの際に披露するのであれば、反物のみ、または反物と帯を、と思っております。

また、仕立ては、知り合いの方にお願いできれば、と思っております。
いつも茶道の稽古でご一緒している60歳の女性なのですが、その方が和裁のプロで、いつも古いきものを下さったり、着付けのアドバイスをして下さったりと、大変かわいがって頂いております。
私以外のお仲間も、きちんと謝礼をお支払いして、その方に染め替えや仕立て直しをお願いしたりしているので、私もその際は、事情をお話して、どうしても信頼できる方にお願いしたいので、ということで、お願いしようと思っております。

ちなみに、彼は茶道にはあまり興味がないようなので、茶会に出る機会はないと思いますが、袴は必要かもしれません。
恥ずかしながら、老けて見える割には中身が子供っぽく、着物を着ていても高い木によじ登りそうな、大変やんちゃなところがあります。子供ができれば尚更のことと思います。
彼も子供ができて家族みんなで着物を着て過ごすことが理想、と言ってくれているので、これから徐々に、私も男性の和服の知識を身につけていきたいと思っております。

初めての質問なのにも拘わらず丁寧にご回答下さり、お二方に感謝申し上げます。
ご紹介くださったお店にも足を運んでみたいと思います。

それでは今後とも宜しくお願いいたします。
 

>>> ぬのくま  男  神奈川 [URL]  -- 2005/05/18-20:34..No.[1148]
 
     おめでとうございます(´(エ)`)
 とりあえず結納のことにつきましては先のお二方がおっしゃってくださったので… 今後の、普段のことにつき。
 とにかく肩肘張らずに気楽になされるのがよろしいかと。
 私の相方(の予定の方)にはじめてあった時、私は羽織袴&インバネス(冬だったので)でした。幸い彼女は偶然、茶では同門な人だったうえ、彼女の父上(僕の学術研究上の師でもある)は日本文化に造詣が深い方でしたので、まあ受容されています。
 まずは夏場あたりからざくざく着られる綿の着物や浴衣あたりから、彼の(いや、彼との)着物生活をはじめていかれてはどうでしょうか。最初からあまりハードルが高いと厳しいのでは、ということも(もちろん結納の話とは全く別ですので念のため)。
 生活に根ざした着物生活が送られたら…これほど素敵なことはないと思います。
 

>>> 藤原香子  女  東京 [URL]  -- 2005/05/20-17:01..No.[1154]
 
    ぬのくま様
お返事遅くなりまして申し訳ございません。
あたたかいお言葉、大変うれしく思います。ありがとうございます。

結納返しの品とは別に、普段使いのきもののことも考えなくては、と思っておりました。
現在和裁の勉強中ですので、まずは今年の夏に着られそうな浴衣を一枚縫ってみようと思います。

ありがとうございました。