着物を着る前に

はじめに

ここでは、男性の着物の着方を肌着から袴まで詳細に紹介します。
画像と解説を確認しながら手順を追う方が、動画より理解しやすいと思います。
すべての手順をゆっくり丁寧に行うよう心がけると、きっと上手く着ることができますよ。

着物を着る前に

一口に「和服を着る」と言っても、何をどう着るのか、あるいは着たいのかで和服に対するあらゆる観点が変わってくるものです。ファッション性を重視して着たいのか、ある目的の衣装や制服として着るのか、仕事着であるのか、あるいは私のように、日常の生活着として着たいのか、などの目的をまず明確にすれば、自ずと方向性は決まってくるものです。次に自分の持つコンセプトも重要です。昔の書生や文士風が好みなのか、あるいは町人風がいいのか、職人風なのか旦那風なのか、それとも学者風なのかなどなどです。多くの場合、これらは憧れやこだわりであると思いますが、そういうものがあった方が和服を好きになるには好都合です。

すでにお話ししているように、私自身は日常着として和服を着ていますから、このページでは、そうした普段着として和服を着ることを前提に説明しています。あくまで手順としての着装についてを、肌着から羽織まで個々に説明するものです。ですから、画像の一連性は特にありません。礼装と普段着では細かく異なる部分もありますが、大雑把に言えば角帯の結び方が違うくらいで、着物のデザイン(形)は同じですから、基本は同じです。何度も練習して、自分で着れるようになって下さい。

なお、着付けの時間は、普段着であれば肌襦袢を着けてから、角帯を締め上げるまで(下の説明の2~4まで)を5分以内で終えるのを目標にするといいです。これは手早く着る方が着崩れを起こしにくいためで、私の経験上、普段着でこれ以上かけると、やはりどこかしっくりしていないものです。

和服を上手に着るコツは、帯から上の上半身に適度な余裕(だぶつき)を持たせて着ることです。よく、皺一つ見せないように着て、衿元なんかもぴったりで、見るからに身動きできそうにない人がいますが、あれでは生活出来ません。両手で万歳したらきっと袖の付根とか破れてしまいます。そうではなくて、着終わったとき、衿元がゆるくてだらしないくらいの方が動きやすくて着ていてもぜんぜん楽なんです。和服というのは着慣れてくるとそういうものです。

それから、お腹が太くて出てるほど和服は着崩れしにくいものですが、絶対に着崩れしない着付け方法というのはありません。男の場合、着崩れのほとんどは帯がずれ上がることですが、これはある程度どうにもならないことなんです。気付いたら帯を押し下げてやればいいだけです。こういう行為がまた、和服の気持ち良さを味わえる醍醐味であったりもするのですよ!だんだんコツがつかめて来たら、ぜひ「自分なりの着方」というのを見つけて和服の生活を楽しんで下さいね!

 懐には多少の余裕を持たせて
 ゆったりと
 角帯は腰骨の位置で下腹を支え
 るように後ろ上がりに締める
 衿はうなじにぴったり沿わせて  衿元はゆったり、スッキリと

着物を着る前に

さてさて、みなさんうまく着れたでしょうか?「和服を着るという行為」のところでも説明したように、和服は人の体にあわせて着付けるというプロセスなしでは着れない衣服です。自分の好みや肌にあった着心地をモノにするには、どうしても自分自身で着なければなりません。自分に合った着方でいれば、たとえ紋付袴で一日中過ごしても平気でいられます。男のきものは慣れれば着るのは本当に簡単です。何度も着れば自然と身体が覚えてくれますよ。