藍染の魅力

藍に限らず、染めの着物は色落ちの問題が難しく、特に夏物では汗による色落ちが悩みの種という話をよく聞きます。男性のきものは、一般的には染めのきものは少ないのですが、武道用の木綿の袴などを普段用に用いる時など、同じ悩みに直面することもあるかと思います。特に藍は摩擦に弱く、ひどい汗をかかなくても、強い力で擦れると相手の布地などに藍自身の色が移ってしまうという特性があります。色の薄い帯の裏などが真っ青になってしまうなんてことがよくあるのはこのためです。

この藍染めの着物や袴の色落ちは、何度も洗濯するうちに普通はだんだん弱まってくるものですが、色落ちが激しい場合は専門の業者に任せることになります。というのも、現在での藍染めは、天然藍のみによる昔ながらの手法だけでなく、化学薬品を使用する方法もあるため、染めの種類に応じた薬剤を使って色止めを行う必要があるからです。ただし、業者に出しても100%色落ちを止めることは難しいとされています。

昔の人の知恵の中に、お酢とあら塩を使って藍止めを行う方法があるそうですが、恐らくこれもある程度の効果しか期待できないでしょう。いずれにせよ、藍染めの着物や袴、それに足袋などを扱う時は注意が必要です。

ところで、昔から藍には殺菌効果があるとされています。剣道着をはじめとする武道着などに藍染めのものが多いのは、汗による布地の痛みを防ぐためでもあり、白衣の稽古着に比べると確かに効果はあるとのことです。