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長着の仕立て

着物(長着)の仕立てについて

(1)身丈の長さの決め方

 着物の丈の長さには、着物の背中心の衿の付け根(あるいは肩山)から裾までの長さを測った「身丈」と、
 着物を着て帯を締めた状態で同様に測った「着丈」とがあります。実際に仕立てる長さは「身丈」の方です。
 帯を締めることで裾が上がりますので、「身丈>着丈」となるように3~5cm程度の長さを着丈に加えて身丈と
 します。男物長着は「対丈」といい、「身丈=着丈」として仕立てられる場合が一般的ですが、実際には、着丈
 に対し身丈が長くなるように仕立てます。

 身丈を決めるためには、実測した着丈に基づいて身体の特徴などを加味した上で身丈とします。
 着丈を測る際は、実際に試着用の着物や浴衣を羽織って、その差異を測るのが簡単で正確な方法です。
 お手持ちの着物や浴衣があるなら、次のようにして着丈を測って下さい。
 
 ・採寸する時は、洋服を脱ぎ、実際に着物を着て帯を締めて測って下さい。
  このとき、背中の帯上の上半身にこぶし一つ分くらいのゆとりを設けておきます。
  上半身にゆとりを設けることで、両手を上げても着物が突っ張らず楽に動けます。
 ・標準的な「着丈」は、帯を締めて着付けた状態で、裾が足の甲に触れるか触れないか(足の踝がちょうど隠れる
  くらい)の長さになるようにします。
 ・帯を締める前の、羽織ったままの状態では、着物の裾が床に触れるか触れないかの長さとなるのが適当で、
  これが実際の「身丈」の長さとなります。
 ・試着した着物の丈が短い場合は「足りない長さ」を、長すぎる場合は「余分な長さ」を測り、試着の着物の身丈
  から加減して自分の着丈を計算します。
 ・なお、お好みにより、標準より短めにしたり、長めに仕立てる場合もありますが、いずれもあまり極端ですと、
  着ていて落ち着きません。少なくとも足袋を履いて、足首の肌がわずかでも見えるのは短すぎ、床につくのは
  長すぎるとお考え下さい。

 なお、身長から割り出す身丈の標準寸法は、身長×0.85(±2%)、または身長 - 26cm(±1cm)とされますが、
 この値は短めの丈となりがちです。

 木綿など、縮む恐れのある生地で仕立てる場合は、特にご指定のない限り、3~5cm程度長めに仕立てます。

(2)裄の長さの決め方

 裄は手を斜め45度に下げ、真っ直ぐ伸ばした状態で測ります。
 首の付け根の中心から、肩を通り手首の骨のグリグリの部分にかかる程度の長さを測って下さい。
 なで肩の人の場合はやや短めに、いかり肩の人の場合はやや長めに取ると具合がよいでしょう。
 袖の先が手の甲を覆うような位置だと長すぎて邪魔になります。

 ちなみに、身長から裄を割り出す場合の標準寸法は、身長×0.4+2cmとされていますが、この計算式では
 やや短めとなる場合が多く、生地に余裕があるなら、あと+1cmとしたほうがよいでしょう。
 裄が長い場合は、肩幅より袖幅を広く仕立て、上半身の余分な生地のだぶつきが少なくなるようにします。

(3)褄下の長さ

 褄下(衿下)は、着物を着た時に帯の右下に覗く衿先の長さを決める寸法です。
 通常は帯の下に5~8cm程度はみ出す位となるように、衿の先から裾までの長さを決めて測ります。
 衿先の長さが長すぎても短すぎても、見た目に悪く、着崩れや動きにくさの原因にもなります。

 標準的な割り出し方は、身長×0.5±5cm程度とされていますが、この計算式では、股下寸法の長い人では、
 褄下が長すぎて除く衿先が短くなりがちです。その場合、身長ではなく「着物の身丈の1/2」とした方が正確です。

(4)身幅の決め方

 身幅は正確には、後ろ幅+前幅+合褄幅の合計寸法で、これらを腰回りのサイズから割り出します。
 寸法の割り出し方は、条件によっても異なりますが、一般的には腰回り寸法+4~5cmとします。
 5cm前後の余分は下着などの厚みと余裕を持たせての考慮です。
 着物を正しく着た時に、上前の衿下のラインが右の脇縫いの線にぴったり重なるのがちょうどよいサイズです。
 身幅が狭いと、前がはだけやすくなり、逆に身幅が広すぎると歩きにくくなります。
 ただし、腰回りが110cmを超える方の場合、身幅を少し狭めにしておいた方が歩きやすくなります。
 また、茶道で着る着物を仕立てる場合は、前が肌蹴にくいように、前幅を五分(約2cm)程度広目に仕立てる
 場合もあります。ご希望に応じてご指定下さい。

(5)袖丈の長さ

 袖丈は、袖の縦方向の長さをいいます。袖丈は身長とのバランスを考えて決めます。
 標準寸法の割り出しでは、身長×0.3とされますが、これも身長が高いと長すぎる場合が多々あります。
 通常は、身長170cm前後までなら1尺3寸(約49cm)程度に、身長170cm~180cmで1尺3寸5分(約51cm)前後、
 身長180cm以上なら1尺4寸(約53cm)程度とするのが適当で、着る人の好みでこの多少加減してもよいでしょう。

(6)衿について

 着物の衿の幅は、一寸五分(約5.7cm)が標準寸法で、通常はこの寸法通りで仕立てます。
 ただし、首が太い人は、衿幅を太め(広め)に仕立てると対照的に首筋が細く見え、
 逆に首が細い人は、衿幅を細め(狭め)に仕立てると首筋の細さが目立たなくなります。
 調整の幅はほとんどミリ単位のレベルですが、わずかな違いが大きな差となる部分です。

(7)共衿の長さについて

 長着には、「共衿」という短い長さの衿を重ねて縫い付けます。共衿は、着物の地衿の汚れや破れを防ぐための
 保護用パーツで、共衿が傷んだ場合は、地衿と交換して仕立て直すと、元通りきれいに着ることが可能です。
 共衿の縫い止めてある端の部分となる、上前の衿の横のラインは意外と目立ちます。
 その位置が高すぎると子供っぽく、落ち着きがないようにも見えてバランスがよくありません。

 この位置は、身長や体型にもよりますが、着物を正しく着て角帯を締めた時、概ね帯の上端と剣先のちょうど
 中間に位置するように決めるのが、もっともバランスよく見える位置となります(下図参照)。
 共衿の長さは、背の首の付け根の中心から、以下の図に示した適切な長さとなる位置までを測ります。
 身長170cm前後の方の場合、標準的には1尺3寸(約49cm)前後で、実際の共衿の長さはこの2倍の寸法です。

(8)内揚げの位置

 男ものは対丈で仕立てるため、女ものの御端折りに相当する余り布の部分を、最初からお腹の辺りで着物の
 裏側にタックを取って縫い止めておきます。これを「内揚げ」といい、将来着丈を長く仕立て直したり、
 擦り切れた裾を切り詰めて縫い直す時などに使用します。

 内揚げは、前身頃と後ろ身頃のそれぞれにあり、縫い目が帯を締めた時に、ちょうど帯の下に隠れるように
 仕立てます。内揚げの位置を決めるには「揚げ下がり」という、肩山から内揚げ位置までの長さを指定します。
 標準寸法では、身長×0.4を前の揚げ下がり位置としますが、おなかの出方などで位置を加減します。
 後ろの揚げ下がり位置は、通常前より一寸ほど高くします。

 帯の上や下からこの縫い目が斜めに横切るのは美しいとは言えませんので、必ず適切な位置となるよう、
 実際に帯を締めて確認して下さい。

※内揚げの位置が高すぎるNG例。
 赤いラインが内揚げの縫い目です。

長着の各部名称