手入れ・収納用品
和服の手入れや収納に欠かせない代表的なアイテムをご紹介します。
畳紙(たとうがみ)
畳紙は、「たとう」、「たとうし」とも呼ばれます。着物や袴、長襦袢などを包んで保管しておく紙です。普通、丈夫で通気性にすぐれた、厚手の和紙でできています。中には防虫加工が施されたものもあります。また、中に入っている薄い紙も着物を保護するために必要なものですから捨ててはいけません。
なお、和服を保管する時にはとりあえず以下のことは守りましょう。
正絹の着物の上には絶対に直接樟脳などを置かないこと。変色などトラブルのもとです。樟脳などの防虫剤よりもむしろ、除湿剤の利用が効果的ですが、できれば、正絹着物には極力化学薬品を近づけることを避け、湿気のない風通しのいい場所に置いた桐の箪笥で保管し、こまめにチェックするのがいいと思います。
逆にウールのきものやモスリン(毛)の長襦袢には防虫剤を入れておきます。こういう着物類にまず虫がつきます。
違う素材の着物同士を重ねて同じ引き出しに入れないようにしましょう。
和服用ハンガー
いわゆる「きものハンガー」と称して売っているものです。これらは、いずれもプラスチック製ですが、写真上のものは肩の部分が左右に開くようになっていて、2通りに使えるというスグレモノです。また、中央部の穴には帯をかけておくことができます。
下にぶら下がっている方も折りたたむことができるようになっています。
和服をかけておくのは別に普通の木製ハンガーでもいいと思いますが、こうしたきものハンガーもいくつかあると便利ですよ。
巴箒(和洋服ハケ)
脱いだ後の和服のホコリ落とし等に使う和製のミニホウキです。これを使うと和服だけでなく絨毯などの糸屑も簡単に取れます。非常に軽くて扱いやすく、ホコリなどもよく取れますから一つあると重宝します。
左のものは、岩手県の南部箒という昔ながらのブランド品です。デパートの物産展で5000のものを購入しました。かなり小さいものでもこのくらいの値段はします(写真のものは穂先の長さ約15cm)。高級品は1万~2万くらいです。上等品ほど、穂先部分のちぢれが強く、束ねてある量が多いです。大事に使えば末永く使えます。
使うときは、穂先を布に軽く当て、狭い範囲をリズミカルに手早く掃きます。穂先が折れ曲がるほど力を入れたり、上下に撫で付けるように掃くとハケや布を傷めますし、ホコリもうまく取れません。使わないときは、左のように吊るしておくか、穂先が上になるようにして保管します。
和服専用箪笥
この和服専用の総桐の和箪笥は、引出しの数が多く非常に使い勝手がよく重宝しています。和服用の箪笥は防湿性に優れ、防虫効果もある桐の箪笥の方がやはり和服が長持ちするようです。
左の長い引き出しには、着物や長襦袢が引き出し一杯につき二枚づつ入ります。右の小さな引き出しは帯箪笥になっていますが、帯だけでなく、足袋や羽織紐などの小物や新しい肌着類などを入れています。右下の深い方の引き出しには、畳紙に包んでいない普段使いの着物や長襦袢、丹前などの厚手の着物が入っています。
実はこの箪笥一棹には、すべて男物の和服が入っています。(^^;
日常使う肌着類や褌、足袋、角帯などはまた別の箪笥に入れてあります。気がつくと和服の方が洋服よりも多いみたいです。
黄色い風呂敷
呉服屋さんなどでよく見かける黄色い風呂敷きも、家庭での和服保存に利用しない手はありません。これは呉服関連の業者の方にとっては定番とも言える風呂敷きで、昔から使われています。呉服屋さんの店内が樟脳臭くないのも、実はこの風呂敷きのおかげ。染料として使用される鬱金(うこん)に防虫効果があるからなのです。
きものバッグ
きものバッグは大抵縦形で、エンジ色や紺色のものが多いのですが、中にはこんなものも。これなら、男性が持ってもきものバッグには見えませんし、軽くて重宝します。中を開けると、小物も分類収納可能なポケットが沢山ついていて、草履用のポケットには草履をを入れる厚手のビニール袋もついています。
写真のバッグは、大阪の船場センタービル内の「高橋英」という、和装品卸のお店で見つけたもので、値段は6,300円でした。この商品は、「あづま姿株式会社」製で「和装ファッションカバン」という名で売られています。他に同一デザインで縦形もあり、色も写真のモスグリーンのほかに、ワインレッド、ベージュ、パープルの4色があります。
なお、この種のカバンには、他に法衣店などで売られている「法衣用カバン」というのもありますが、デザイン的には写真のものの方が個人的には気に入っています。
ベンジン
染みぬき、汚れ落し用として用いる溶剤として最も一般的に利用されるのが、このベンジンです。着物や襦袢の襟汚れを落とすのに効果的です。また、軽い食べこぼしや、飛び散ったラーメンの汁などで出来てしまった油染みもこれで取り除けます。ただし、あくまで日常的な応急処置に過ぎませんので、ひどい汚れの場合は、クリーニングなど、専門の業者に相談しましょう。
使い方は、脱脂綿か柔らかいガーゼに適量を含ませて汚れた部分を軽く叩くようにして汚れを落とします。少し叩いたら、上から白いタオルなどを当てて更に叩き、溶け出した汚れを吸い取ります。ベンジンで濡れた部分はすぐに乾きますが、両手で挟んで暖めるようにして押え込むと仕上がりがきれいです。
輪染みを防ぐには、均等に軽く叩くことと、集中的に一個所を叩かないで周囲にぼかすように叩きます。なお、ベンジンで布地をこすると、場合によっては色が褪めてしまい、白っぽくなってしまうこともあるので注意しましょう。
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真っ黒だった襟汚れもさっぱり!