長襦袢
長襦袢について
長襦袢は、長着のすぐ下に着る下着です。着物を着たときに見えるのは、襟と袖口くらいですが、昔から男のきものは見えない所に凝るものなので、長襦袢は羽織の額裏と並んで凝る楽しみの対象とされるみたいです。まあ、お金と趣味のある人はいいでしょうが、私は適当なもので十分です。気にするとしたら、袖口に覗いて見える色柄が着物に合うかどうかくらいですが、たいていはあるもので間に合わせています。
素材は羽二重や縮緬などの正絹やモスリンというウール素材のものが一般適です。夏用は絽や麻のものになりますが、普段着なら夏は半襦袢でも十分です。
長襦袢を買うとき、古着を選んだり着物と一緒に仕立てを頼まないときは、必ず合わせる着物の「裄(ゆき)」(背縫いの中心から袖の先までの長さで、普通は手首までを計る)を確認し、最低でも着物の裄より短いものを選びます。長襦袢の裄は着物よりも5ミリほど短く仕立てますが、多少はこれより短くても問題なく着れます。特に普段着ではこだわる事はないでしょう。また、着丈の長さも着物からはみ出るようではいけませんが、多少短くてもどうせ着物で隠れるのでぴったりの寸法でなくても大丈夫です。
長襦袢の種類
正絹の長襦袢(ながじゅばん)
羽二重でできた長襦袢です。正絹の長襦袢はたいてい袷仕立てになっています。
これは紋服用に作ったものなので白い半衿をかけていますが、半衿を付け替えれば、着物に合わせていろいろ着廻せます。
普通は正絹の着物を着るときは正絹の長襦袢を合わせますから、一枚は持っていると重宝します。
私はもったいないので普段着の下に着る事はないです。家じゃ洗濯も簡単にはできませんから。
モスリン(毛)の長襦袢
普段着の下に着るならやはりこれです。単仕立てがほとんどですが、夏以外なら年中着れます。モスリンは毛100%なので冬も暖かく、多少縮みますが洗濯も可能です。
左の写真の長襦袢は普段愛用しているものの一枚ですが、男物にしては珍しく明るい色合いなのが気に入っています。普段着のときもたまにはこのくらいの色半衿をつかうと気分が若返りますよ。^^;
袷仕立ての長襦袢
冬用の毛素材の長襦袢ですが、からし色の裏をつけたちょっと珍しい長襦袢で、とても暖かく過ごせるスグレモノです。
最近はどこに行っても暖房が効いているのであまり用いられることはないと思われますが、長襦袢が袷になっているだけで、無駄な重ね着をしなくても十分暖かいものです。
麻の長襦袢(夏用)
夏用の長襦袢の素材は絽や麻で、男物でも夏物に限って、色はほとんど白のようです。これは、着物を通して透けて見える時の涼感を考えてのことだと思います。夏物の着物はたいてい透けて見えるものですから、長襦袢が白だといかにも涼しげです。
左の写真は麻製の長襦袢です。この写真じゃ素材感がわかりませんが、少し透けて見えるのはわかるでしょうか。麻は肌にひんやりとした感触があり、汗をかいてもわりとサラッとしていますから、真夏でも結構涼しいのです。
また、化繊でできた絽の長襦袢もあり、これは洗濯が効くのでたびたび着るならお勧めです。ただし、化繊のものは大量に汗をかくと肌にまとわりついてしまうので、濡れるとよけい暑くなります。クーラーの効いた部屋の中などならそれも気にならないでしょう。肌触りも悪くはありません。