作務衣

もとは修行僧の作業着

作務衣はもともと修行僧の作業着で、禅宗での修行の一つである「作務」と呼ばれる日常の労働作業を勤める時に着る「衣」だから「作務衣」というんだったと思います。ただし、今のように下穿きがズボンのようにセパレートされたのは比較的最近のようで、戦後にモンペなどからヒントを得て、誰かが考案したもののようです。それまでは、現在の作務衣の上衣が膝くらいまであるような、長作務衣と呼ばれる衣を着ていただけというのが一般的だったようです。

なお、作務衣は甚平と違って、冬用のものもありますから、夏だけでなく年中愛用している方も多いです。作務衣もこだわると実に種類が多く、値段も高いものは上下で数万円以上するものも。素材は綿が中心ですが、夏向けには麻や綿麻(綿と麻の混合)のものが涼しくていいです。愛好家は洗うほどに味が出る藍木綿を好むそうです。

いずれにせよ、私個人は、夏でもやはり角帯を締めていないと落着かないので、この作務衣も滅多に着ることはありません。作務衣は、今やホームウェアとして、あまり和服として意識されずに全国で愛用されている数少ないアイテムですね。

写真の作務衣は夏用で、綿麻の近江ちぢみのものですが、下衣の裾がゴムでなく、紐で絞るようになっているものです。スーパーやデパートで売っている作務衣のほとんどがゴム入りですが、こうした紐で調節できるタイプのほうが、私は楽でいいと思います。私は昔から、ウエストや手首、足首をゴムで締め付けられるジャージやスゥエットのような洋服が苦手なんです。