袴の仕立て
袴の仕立てについて
(1)袴の形状と種類
袴には様々な種類と形状がありますが、当店では最も一般的な「平袴」という種類の袴を標準としております。
袴の仕立て方には「馬乗り袴」と「行燈袴」の二種類がありますが、当店では「馬乗り袴」を標準としています。
外見は同じに見えますが「馬乗り袴」の方が着用時のスタイルが良いことや歩きやすくて活動的なため実用的です。
行燈袴は座った時などに裾が広がりやすく、中の着物が裾からはみ出てしまう可能性もあります。ただしトイレの
時に袴の紐を解かずに裾をまくり上げて用が足せますので、これを重要視する場合は行燈袴でもよいでしょう。
野袴、武道袴など、標準タイプ以外の袴をご希望の場合は、ご注文前にご相談下さい。
(2)袴丈の決め方
袴の採寸項目は基本的に「紐下」という、前丈の長さだけをご指定いただければ、あとの部分の寸法は割り出せます。
紐下の長さは、下の図を参考に、前紐の下端から袴の中央のひだ(三の襞)の下端までの長さを測って下さい。
袴丈を測るときは、姿勢を正し、真横から見たときに、袴の裾がくるぶしのあたりを横切る長さが適当です。
足首が見えるようだと短すぎ、足の甲が隠れるほどでは長すぎる丈になります。
なお、紐下の長さを決定するために、必ず確認しておく必要があるのが、帯を締める位置と、袴の着け方です。
帯を締める位置が上下すると、袴丈も当然上下しますから、必ずご自分の帯位置をご確認の上で測って下さい。
袴の着け方によって生じる袴丈の差異にもご注意下さい。多くの書籍や着付けの指導では、そのほとんどが帯の
上端を1~2cm程度見せるように、袴の前紐を当てて着つけるようにされていますが、当店では本来の袴の付け方
である、帯より上に袴の前紐を当てる着装を推奨いたします。現在でも武道などでは帯を見せる着装はありません。
帯を見せるのは、装飾上帯の色柄を見せたい場合で、この方法では袴が下にずり落ちやすくなります。
次に、袴の後ろ丈に影響するのが帯の締め方です。袴下の帯結びは、必ず一文字でなければならないわけではなく、
貝の口や片ばさみでも構いません。ただし、この帯結びの形状により、袴の後ろ腰部分の膨らみが変わるため、
それを考慮して後ろ丈を調整します。
以上の違いをご考慮のうえ、お客様の好みやご都合で、袴丈の長さをご指定下さい。
よくわからない場合は、お問い合せいただいた上でお決めいただくか、当店にお任せ下さい。
(3)袴の襠(マチ)の高さ
袴の襠とは、内部の股の部分に設けられる菱形の布をいいます。馬乗り袴や野袴など、襠のある袴では、
両足に分かれるように内部を仕立てます。袴の種類や用途によって、この襠を付ける位置が変わります。
ご希望の襠の高さがおわかりであれば、ご注文時に「マチ下」の寸法をご指定下さい。
よくわからない場合は、お任せいただければ、標準的な位置で仕立てを行います。
一般には、日常用や旅行などの外出用には、高めの襠を、お茶席など室内での着用が主となる場合の袴では、
襠の低い袴が向いています。
(4)袴の腰板について
袴の腰板は、袴の後ろの台形の固い板状の部分をいいます。この腰板がある袴とない袴とがありますが、当店では
図のような標準的な平袴の場合、腰板のある袴を標準としております。
腰板の中の芯の材質は、標準の仕様では厚紙を重ねたものを使用します。袴を水で丸洗いすると、この腰板の部分が
型崩れしますが、袴は頻繁に洗濯を行うものではありませんので、通常の用途であれば厚紙芯で問題ありません。
また、正絹の袴はガード加工をあわせてご指定いただくことをお勧めします。
なお、オプションとなりますが、腰板の芯材に水洗いも可能なウレタン系の材質ものを指定することもできます。
ご希望のお客様は、ご注文時に別途ご相談下さい。
袴の各部名称