反物と生地の種類

反物(たんもの)

着物などを一枚仕立てるのに必要な用尺の生地を「反物」といいます。通常は丸巻きにしてありますが、結城紬など一部の製品は「機畳み(はただたみ)」と呼ばれる、生地を四角に折りたたんだ状態で販売されるものもあります。

これら反物のサイズは幅40cm前後、長さ12~13m前後のものが一般的ですが、工業規格的な基準枠はありません。この用尺で着物一枚分が仕立てられる生地となりますが、特に反物の幅には意味があり、この幅の2倍の寸法が裄の長さの最大寸法(正確には袖先と肩部分の縫い代を差し引いた長さ)となりますので、手の長い人は必ずこのサイズを確認しましょう。

反物
機畳み

生地の種類

物理的、技術的にはどんな生地でも縫い合わせて着物の形に仕立てることは可能といえますが、着物本来の着心地や動きやすさ、見た目の質感などは素材の特性に応じて変わってきます。食材と同じく、どれが一番かということではありませんが、やはり古来より着物に仕立てることを前提に生産される反物類が着物向きといえるでしょう。以下は一般的な着物生地の種類です。

 1.正絹  : 絹100%の生地を正絹(しょうけん)といいます。使用される糸の種類、織り方など製造技法の違いにより、様々な素材があります。
         正絹生地の種類 ・・・ 羽二重、縮緬、御召、紬、絽、紗、羅など(注:これらの生地に似せて作られた化繊の生地もあります) 

 2.麻   : 植物の麻糸を用いた生地で、手績みの苧麻糸(越後上布など)、機械紡績のラミー糸(小千谷縮など)を使用するものが一般的です。特殊なものに大麻布もあります。      

 3.木綿  : 使用する糸の太さ(番手)によってさまざまな生地が生まれます。綿糸の種類が単糸(複数の糸を撚り合わさないもの)が双糸(細い糸を複数本撚り合わせたもの)かで風合いが異なります。

 4.化繊  : ポリエステルやナイロンなど一般的な人口繊維を使用した生地ですが、東レの「シルック」など正絹の風合いに近い高級生地もあります。
         また、天然素材が由来の「キュプラ」(綿花のコットンリンターが原料)や「爽竹」(竹繊維が原料で表記上は竹由来の繊維は「レーヨン」と記載される)などもあります。

 5.自然布 : 植物由来の糸を原材料とした生地を総称して自然布または古代布などといいます)。麻や木綿も含まれますが、一般的には類別されます。
         科布、葛布、楮布、藤布、芭蕉布、大麻布など。