草履
和装用の履物について
和装履物には「草履」、「雪駄」、「下駄」の三種類があります。現在もお祭りなどでは草鞋も履かれますが、一般和装で履くことはないでしょう。
履物選びの重要なポイントは、足にあった適切な大きさと、鼻緒のすげ具合にあります。特に鼻緒の具合は、買ったままの状態で、足に合うのは稀だと心得て下さい。
鼻緒に爪先が簡単にすっと入るようなら緩すぎるかも知れません。足袋を履いていても、足の指や甲が痛くなる場合も、鼻緒の具合が足に合っていないことがほとんどです。そういう場合も、和装履物の専門店などで鼻緒の調整が必要です。
できれば足袋を履いて調整するとよいのですが、素足で合わせても問題ありません。
鼻緒はどうしても履いているうちに緩んでくるので、最初は少しきつい位としますが、あまりきつく締め過ぎると痛くなるので加減を知ることが必要です。
履物は、鼻緒の下の本体部分を「台」といい、表面の部分を「天」または「表」といいます。
鼻緒は三箇所で台に止めてありますが、足の指を挟む前坪よりも、後ろの二箇所をややきつく締めた方が、緩みにくく歩きやすいフィット感が得られます。
草履や雪駄のサイズは、足を乗せる台の大きさ(長さ)をいい、靴と違ってフリーサイズで、製品によって多少の違いはありますが、男物では次を目安にサイズを選ぶとよいでしょう。
足のサイズは足袋のサイズと同じでよいのですが、和装履物自体のサイズは、着物と違い、曲尺(一寸が約3・03cm)の長さで測りますので注意して下さい。
Mサイズ(八寸)24.0cm~26.0cmまで
Lサイズ(八寸三分~五分)26.5cm~27.5cmまで
LLサイズ(八寸六分~九寸)28cm以上
足の踵と小指側が台から少しだけはみ出るくらいが適切で、歩きやすいサイズです。鼻緒式の和装履物は、足が全くはみ出ないのはサイズが大きく足に合っていません。見た目を重視して、前坪を左右や後ろ下がりにオフセットした製品もありますが、残念ながら履きやすいとは言えません。
なお、履き慣れない人であれば太目の鼻緒を選ぶことです。鼻緒を太くすると、歩いても足が痛くありません。長時間歩く時や普段履きなどは太目の鼻緒が良いでしょう。
また、雪駄よりも芯の入った草履の方が歩きやすく疲れません。最近は、ウレタン底などを使用した新しいタイプの草履もありますが、鼻緒の調節が効かないタイプのものは、傷んでも修理できない場合がありますので、用途に応じて好みで履き分けましょう。
男性用の履物は、一般的に雪駄、草履、下駄の3種類です。呉服屋さんや履物屋さんで尋ねても、「男物の草履ことを雪駄といって、どちらも同じ物です。」なんて答える方もいらっしゃいますが、正確には草履と雪駄は違うのもです(上記で紹介した現代屋さんのページに詳しい説明があります)。
草履
正装や礼装に合わせる履物は、畳表の「草履」が正式で、同じ畳表でも裏に鋲などが打ってある「雪駄」は、あくまでお洒落用の履物で礼装には用いません。礼装では鼻緒は白が正式となります。
草履は雪駄と違い、表の台と底張りとの間に一枚芯が入れてあります。現在、芯の材料はほとんどがコルク芯です。裏底に張る皮も、草履ではクローム底と呼ばれる水色の牛革底が使われます。
また、踵の部分には雪駄のような金属金具は用いず、現在はゴムの踵が釘で打ち付けあるものがほとんどです。この踵ゴムは摩耗したら交換できます。
礼装用途には畳表やエナメル製の草履を、おしゃれ用など他の用途には、表や鼻緒を自由に組み合わせて選びます。草履は横に厚みがあるため、この部分にも巻きつけるように表と同素材が貼り付けられますが、おしゃれ用途では印伝など別の素材を自由に組み合わせた個性的な草履も楽しめます。
表の素材は実に多彩ですが、一般的な牛革や幌布を加工したもののほか、ほかに、シコロ織、酒袋、エクセーヌなど、様々な素材が表に使われます。
また、表の中に綿を入れた綿入草履なら、足あたりがよく長時間履いても疲れません。
畳表のものは、踵の部分の重ね方の数により、二枚重ね~七枚重ねなどの種類があります。身長と好みに合ったものを選びましょう。
なお、重ね数の数え方は、表の一枚を除いて中心だけを数えますので、二枚重ねなら後ろから見て三枚重なっていることになります。
夏用には、パナマ、ホースヘアー、科布、網代、籐などの表を用います。また、趣味性の高い爬虫類や象、アザラシなど動物皮の草履もあります。
鼻緒は本天(ビロード)素材が足のあたりがやわらかく歩きやすいのですが、おしゃれ度は今一つなので、印伝や革類、ちりめん素材の色柄豊富な鼻緒から選んで楽しみましょう。