伝えたいこと
「男のきもの大全」は「男性の和装」にテーマを絞ったページです。これほど多種多様な情報が氾濫しているにもかかわらず、ことに「男性の和装に関しては、あまりにも情報がない」という現実をまずは変えられないだろうかと思い、1997年、このホームページを企画しました。
当サイトでは「日本男児こそ和服!みんなで日本の伝統文化を守ろう!」といったような、教条的で堅苦しいお仕着せの理解を求めるような意図は全くありません。ましてや生活の全てを和風にし、日本中を日光江戸村にしようなどとも思っていません。和服に関する蘊蓄の蓄積が目的でもありません。和服はもっと素朴でシンプルな、気軽に楽しめる服装であるはずだからです。理屈を超えた魅力を肌で感じれば、余計な動機付けなど無用の長物です。また、和装の解説や解釈に「正解」を求める人も多く見受けられますが、私は和装そのものに絶対的な正解はないものと考えます。もちろん伝統的な和装の世界も存在しますが、現代生活の中での和装を考える際には、まったく新しいイメージで迎え入れる和装もあってよいと思うのです。それは、時代と共に変遷するのが自然の理であり、生きた文化とはそうした中から生まれるものでもあると考えるからです。そうした意味において、当ホームページの掲載内容もあくまで一つの情報源であり、これらの情報をどのように生かすかは、ご覧になる皆さん次第だと思っています。
日本人で「きもの」を知らない人はまずいないと思われますが、実際に着たことがある人となるといきなり少数であるのが実情です。しかしながら、ファッションとしても和服を選ばない手はありません。服といえば洋服のことをいう今日ですが、自己表現の手段として衣服を選ぶなら、和服は最適な選択肢です。また、日常着としての和服も実に魅力的です。それらの魅力に気づいてしまったら、フォーマルだけが和装の活路ではないことがはっきりとわかることでしょう。「衣装」としてではなく「衣服」としての和服を再び取り戻し、和装そのものにもっと市民権を得たいと切に願っています。そろそろ和服も着てみようかな、そんな気になったなら着物に袖を通してみて下さい。着るための場所や理由をわざわざ探す必要などありません。着たいという気持ち、それが理由の全てとなるはずだからです。着ない理由を語っているのは、世の中ではなく、結局はあなた自身ではないですか?