オブラ2月号 メイキング&裏話

講談社「オブラ」2003年2月号の小特集に掲載されました。

オブラ2月号 表紙 (2002.12.26発売)完成誌面より

小特集の表紙ページ(P.113)

普段着の特集と名打ちながら、正絹の高価な着物ばかりを紹介する着物特集に疑問を感じていた人は多いはず。
もちろん、そこで紹介された着物も魅力あるものは多いのですが、やはりそれらは別の観点や種類のきものという扱いがよいと思います。

今回は、初めて小特集全体の監修を担当させていただけるということになったので、
本気で着られるものを提案しようということからはじまりました。

取材スタッフには’99年の「きものサロン秋号」の時にもお世話になった塙ちとさんとカメラマンの浅井さんたちが参加。
三年前をそれぞれが思い出しながら、今回も私の自宅付近での撮影となりました。
実際の写真と記事は、誌面でじっくりお読みいただければと願っておりますが、
オブラ編集部の許可もいただいたので、ウェブ上でもその中身を縮小してご紹介いたしましょう。


P.114-犬を抱いて写っているのは自宅の書斎。できるだけ和服とは不釣合いな?
イメージの日常を入れたいとのリクエストで、「パソコンも和服姿で」という一枚。

P.115-自宅傍のとある階段で。敢えてシワやねじれを気にせず、ありのままの普段着姿を。
裾が長目なのは、木綿の着物は洗濯すると丈が短くなるので、このくらい丈を長くしておくといい、
ということを説明したかったためですが、誌面の都合で詳しい説明文が入りませんでした。
この特集ではとにかく気軽に着れることを躊躇なく受け止めてもらうため、
通常は最小限でも必ず入れる着付けの手順や角帯の締め方、着物のたたみ方などをすべてカットしました。
このため、帯も敢えて兵児帯で統一。着ている着物も撮影用に用意したものではなく、
全て日常で実際に着ているものばかりです。まずは和服に興味を持ってもらうことが先決ですから。
あとのことは、想像力を働かせながら実践して行ってもらいたいとも思います。
生活感を感じていただけると嬉しいですね。


P.116~P.117の誌面

P.116-自宅前で。洋肌着の上に着た片貝木綿の筒袖着物。
普段は滅多に着ない肌着ですが、初めて和装に挑戦しようという人も、
この組み合わせなら違和感も少ないはずということで提案。
さすがに普段締めなれない兵児帯は、締め方が下手ですが大目に見て下さい。

P.117-自宅近くの小道で。ここは実際に通る犬の散歩コースです。
実はこの犬との散歩が一番苦労した撮影でした。犬が全力で引っ張るので自然な散歩姿にならなくて。
なので、犬だけちょっぴりブレてます。ちなみに、館林木綿の下に着ているのは半襦袢と裾よけの組み合わせです。


P.118-オブラ世代にぴったりな京屋悟雀さんにもモデルをお願いしました。
都会の町並みの中でも全く違和感のない普段着の和装が見事に表現できていると思います。
さすが悟雀さん。彼のモデルぶりも編集部で大変好評でした。ちなみに撮影場所は東京の大塚付近です。
胸元だけの小さなカットのみ、わざわざ講談社のスタジオまで足を運んでいただいて撮影したのだとか。
彼のHPにも詳しいメイキング記事が掲載されています。
P.119-厳選した各方面のお店を掲載。ご協力ありがとうございました。

以上のほかに、あと1ページ、片貝木綿の織元「紺二」さんの取材が掲載されています。

撮影風景の一コマより

表紙ページの撮影風景。いろいろと工夫の跡が。
霧吹きをしているのは、オブラ編集スタッフの大場さん。

室内での小物や着物の置き撮りを行っているところ。
カメラ嫌いの塙さんには、今回も撮影拒否されてしまいました。


撮影では、はじめにポラロイドフィルムを使って試し撮りをします。これらがその通称「ポラ」。
※2002年当時はまだプロ用の機材がデジカメ主流ではなかったようです。
両端が折れているのは、誌面のサイズに合わせてトリミングしたため。
以下にいただいたポラの中から一部をご紹介。

P.114で使われた元写真のもの。左右の本やパソコン本体などで実際はごちゃごちゃした部屋なんです。

P.116のカットから。実はこのカットが一番自然でよかったのですが、残念ながら本番撮影では同じ写真が撮れませんでした。

なんとなくワザとらしい?雰囲気の一枚。
これも木綿の着物なのですが、他の写真とのバランスや、誌面の掲載スペースなどの都合でこれは不採用に。

実は他にも茶羽織と合わせた姿など、たくさんの撮影をしました。
撮影の合い間に塙さんや大場さんにインタビューを受けて会話をしながら、
といった感じで進めていき、一日がかりの撮影となりました。
雑誌の編集って、本当に大変な仕事だと思います。本当に皆さんお疲れ様でした。
でも実に楽しい時間でした。ぜひまた、続編が企画してもらえると嬉しいですね。
読者の皆様の声を、ぜひオブラ誌のアンケートで出版社にお寄せいただければと願っております。