袴でトイレはどうするの?
「袴の場合、トイレ(大・小)はどうするのでしょうか?」というご質問をよく受けます。さすがにこれは、画像で説明できないので、HPでも詳しく説明してはおりませんでしたが、今回文章での説明を少ししておきます。袴でトイレは、袴の形状や種類にもよりますが、主な方法をご説明します。
まず、「大」の場合ですが、これはやはり袴の後ろ紐を一度解かないと物理的に用が足せません。ただし行灯袴であれば、無理矢理全てを捲り上げてしまうという方法も可能です。以下は、馬乗袴など、一度紐を解く時の手順です。
1 | 袴の後ろ紐を一度解いて、袴の紐が床に落ちないよう、帯の間などに挟む。 |
2 | 着物を捲り上げて落ちないよう帯に挟んでおく。 |
3 | 袴も裾が床に付かないよう、少し捲り上げて押さえておく。 |
4 | 下着(パンツ)を下ろしてしゃがみ込む。この状態でしゃがみ込むと下半身は フリーな状態になりますから、十分用は足せます。馴れないと着物や袴が広が って思わず汚してしまうこともあるので十分気をつけましょう。 |
なお、下着がふんどしなら、股の部分を緩めて横にずらすだけで用が足せますのでとても機能的です。もちろん、和式・洋式トイレのどちらでもOKです。
次に、「小」の場合ですが、これは袴の仕立の形状により次のような方法が考えられます。
1 | 行灯袴なら、汚さないように注意して裾から着物ごとぜんぶ捲り上げて用を足す。 馬乗袴の場合も無理矢理片方の裾からまくり上げて用を足すことも可能ですが、 馴れないと汚しやすいです。 |
2 | 馬乗袴の場合は、やはり一度紐を解いて、「大」の時と同じ方法でするのが無難です。 ちなみに、袴の横空きの部分からは出来ません。人によっては一度袴を全部脱いで から付け直すことも。 |
3 | 野袴など裾がズボン状の袴の場合も、やはり物理的に2.と同じく一度紐を解くのが 普通ですが、これらの袴には、次のような紐を解かずに用が足せる機能的な仕立の ものもあります。 ・股の部分に「開口部」があるもの。 (後ろから前にこの部分を引っ張り出すようにして用を足します) ・洋服のズボンと同じく、前に「社会の窓」があるもの。 (ファスナー、ホック、止め具無しなどいろいろな種類あり) |
以上の説明でもお分かりのように、外出先のトイレなどでは、迷わず小であっても「個室」トイレに入って用を足すのが無難です。いずれにせよ、馴れないと袴でトイレは面倒なことに変わりありませんが、一部の書籍で「袴の時はなるべく水分を控え、脱ぐまで我慢する」と説明してあるものもありますが、それはちょっとないと思います。
ところで、読者の方から、袴が馬乗りの時は、片方に足を移してしまえばスカートと同じように簡単に用が足せるとのお話を頂きました。お茶席とかお祭りで一日中着ていても苦にならないそうです。それでも慣れない方は細紐を懐に入れておくとよいとのこと。ただし、この方法、実際には、かなりマチの低い馬乗り袴でないと物理的に無理なので注意下さい。マチ高の武道系袴や野袴では残念ながらこの方法は使えません。しかし、この方法が使える袴なら、確かに便利ですね。
なお、袴を仕立てる時のマチの取り方ですが、片方の足の裏を反対側の足に当て 上まで上げてそのときの位置で採ると良いとのことです。体系によって前と後ろの下がりが違てきますから、より正確に仕立ててもらうには、身長やスボンの丈だけでなく、きちんと採寸してもらいましょう。
ちなみに、個人的には日常生活では袴類はあまり着けません。
ご参考になれば幸いです。